(はあ…、肌を見せること自体恥ずかしいし、触られるのとか怖いし…。)
不安が募る中、バスローブを纏い、ゆっくり脱衣所の扉を開ける。
優が凛花のバスローブ姿なんて見たら、顔を真っ赤にして顔を逸らすが、女慣れしている翔太は平然としていて
「え?あ、はい…。じゃあ、お借りします…」
(確かに三脚が必要だったかも…。本当にこういうの慣れてるのね…)
三脚を用意するとかそういうことに考えが至らず、改めて自分や優とは別界隈なのだと実感する。
スマホのカメラアプリを開いて画角などを調整するが、少し苦戦していると、優からメッセージが届く。
(うぅ…、本当はもう帰りたいけど、ここまできてそれはできないし…。最初から断ればよかった…)
優からのメッセージに返信する時間もなく、翔太が勢いよく扉を開けた。
「あ…、え、ええ…。あとはセットするだけだから…」
正直圧倒された。
ナヨナヨした男や少し筋肉質な男子など、空手をやっている自分よりも強いとは思えなかった。
しかし、翔太の身体は、なんというか雄らしく、堂々としたものだった。
スマホを三脚に固定させると、恐る恐る翔太の隣に腰掛ける。
「ちょっと、勝手に触らないでください…っ」
「一応空手やってます…。実家が道場をやってて…。」
「はい、インターハイとかも行きました。いえ、全然凄くないです。すぐ負けちゃいましたし…。会場に応援に来てくれた優に申し訳なくて…」
(あれ…、少し話しやすい…?い、いや、そういう手口よ、手口…。チョロそうな女とでも思ってるんでしょ…。)
腕を掴んだことをきっかけに、引き締まった身体を褒め始め、雑談が始まる。
基本的に翔太の質問に凛花が答えるラリーが続くが、話し上手な翔太に、無意識のうちに警戒や緊張がほぐれてしまう。
それは口数や態度にも徐々に現れ始めた。
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