吉澤くんがマンションのエントランスで別れを告げて帰って行く。
その後ろ姿を見ながら、さっきの事を思い出す。
ちさと
(私・・・抱きしめられて、キスされちゃった・・・)
初めての体験・・・少女の様に震えている。
私だってこの歳・・・自分で慰める事だってある。
だけど、その対象はぼやけてはっきりしない・・・。
この日以降、イメージは吉澤くんになって行く・・・。
私の変化はお仕事にも影響し始めた。
あの日以来吉澤くんの存在は、日増しに私の中でも比重を上げていたのだ。
それでも、二人の時以外は気を使ってお互いに意識しないフリをする。
それをみて面白くないのは山崎主任だった。
あからさまな対抗姿勢を私に向けてくる。
業務でも私的にでもだ・・・。
シフトを私が決めている事にさえ文句を言ってくる。
どうして夜勤は私と同じ日が多いのか?とか新人指導は自分にも
する機会が欲しいとかもっともな話だ。
だけど、もう私にはそんな雑音は耳に入らない・・・。
他の看護師も、私が丸くなったのは吉澤くん効果だと揶揄するが
自分に指導が入らない分文句も出ない。
本当は吉澤くんが上手く扱っているだけだとは、私は思っていない。
※元投稿はこちら >>