カチャッ。
沙織が住んでいるのはオートロックのエントランスのあるマンション。…本来なら沙織を呼び出しロックを開けてもらわなければならないのだが、修一に渡されている鍵で入ってこれる。
仕事帰りに会いに行くと言って置いたのだからと事前に連絡することなく沙織の家へと訪れる。…手には二種のケーキが入った箱があるので同じマンションの住人から見れば新婚夫婦がお土産を買って帰ってきたようにしか見えない姿であるが、これは沙織を気遣うつもりではなく修一自身がケーキ好きで違う味を楽しむためであった。それが沙織には2人でケーキを分け合うといった旦那ともしていない新婚生活のように思えていた。
「ただいま。沙織がスッキリさせてくれたおかげで午後の商談も満額契約できたよ。ありがとうな。」
ただいまというのが当たり前になるほど織の家へと通い慣れている修一。
買ってきたケーキをテーブルの上において沙織の頭を撫でてやる。
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