「返ってきた…。
思ったより帰宅が遅くなったんだな…、どこか寄り道でもしてたのか…?」
これからのことを考えながらPCを眺めているとメールの通知が届く。
外は完全に暗がり、日が落ちてもなお肌を蝕むような暑さは今日も変わらない。
昨日の大雨の影響もあり、かなり湿度も高く非常に過ごし辛い夜にもなっていた。
そんな中での、少し遅めの返信。
返したくなかった可能性は捨てきれない、しかし、返さないことのリスクの方が大きいはず。
やはり、まだ返せる状況じゃなかった…、あるいは返す状況が整っていなかった…、と考えるべきか。
無論、その答えはすぐに分かる。
そして同時に常時動画を拾える状態に設定しておいたカメラの電源がオンになったことに気づくと、そこには早々で纏う衣服全てを脱ぎ捨てる姿を晒す京子。
「プレゼント」…、を躊躇なく設置し、その前で、明らかに見え方を意識して全裸へと一糸纏わぬ姿を露にしていく。
もちろん、彼女の全裸を見るのが初めてなわけではない。
数日にわたる間接的な視姦、盗撮…、いや、本人は撮られている自覚もあれば、カメラは隠れていたわけではないのだから、盗撮ではなく、撮影…と呼ぶのが正しいか。
「盗んだ」のは、初日の下着…、そして、一部を録音した音声くらいの物。
もはや諦めた、というよりも「受け入れた」あるいは「求めている」とさえ感じる振る舞い。
赤らめた表情…、唇は少し開いた状態…、上気しどこか視点が定まらないな少し挙動不審とも言える動き。
そんな京子とカメラ越しに視線が交錯すると
「良い…。少しずつ壊れ始めたみたいだ…。
いや、君の場合…、本来の姿に目覚めた…という方が正しいのかもしれないな…。」
促した、とはいえレスポンスは常に想定を超えてくる。
恐怖が先行する機嫌を損なわないための念を入れた行動…ではなく、承認欲求に近い、求められたい雌の行動に見えてくる。
何より、男は全裸へと晒されたその艶やかでしなやか、整った身体…にではなく、その視線、表情に股間を滾らせ、反り返らせてしまっていた。
「まぁ…良い。
これはこれでさらに楽しみが増えたという物。
せっかく送ってきたメール、確認しないとな…。
添付ファイルもついているな…、これは…。へぇ…。」
思わず感嘆の声が漏れ、口元が緩みにやけてしまう。
どう考えても家ではない場所、どこかのトイレか…それも、全身が大きく映り込むほどの大きな鏡が備えてある。
複数の個室が背後に見える…、少なくとも何人もの女が用を足すために出入りする可能性のある場所で。
「あの指示だけで、こうなることは考えにくい…な。
何かあったのか…?
個室の中で我慢できなくなり、オナニーに耽ってしまった…までは理解できなくはない。
ただ、こんないつ誰が来るかもわからないところでの撮影なんて…、それこそ俺が晒す晒さないという今の状況よりもリスキー…。
何が…、彼女の背を押した…いや、何が彼女の手を引いたんだ…。」
そしてその疑問も、メッセージを確認しても全てが明らかになった感覚ではなかった。
徐にキーを叩き、文章を紡ぐ。
「そこまでのリスクを犯すようなお願いをした覚えは…ないんですけどねぇ…?
バレるかもしれない…、考えませんでしたか…?
バレたくないから…、私のお願いに従っているんですよ…ね?」
色々な理由を思案しながら、京子からの報告を堪能していれば時間は1時間…、いや2時間近く経過しておりいつもの時間が近づいていることに気づく。
もう少し文章を作りたい、と思っていたが先に移動することにした。
いつもは数刻も待たせず返信を行うものの、送られてから数時間も返事をしないことは初めてだった。
それが京子に何かしらの精神的な影響をもたらす可能性はあるのだろうか。
言われるがまま、ではなく、それを越える形で応えてくる京子。
それを意図的に返さず、いわゆる既読スルーに近い状態で。
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「ふぅ…さすがに蒸し暑いな…。
滴る汗を拭いながら、車から降り、京子の部屋のベランダへと向かっていく。」
変な考え方だが、まめな行動だ。
対面したこともない女の為、毎日のように部屋へと赴き女自身には手を出さず下着を汚して帰る。
そしてあらゆる機材を購入し、脅しがあるとはいえ晒させる。
それ自体はもちろん興奮の要素しかないが、それらもタダではない。
そう考えれば、京子が男の影響を受けているだけではなく、男も京子という雌の本能に絆されている…そんな風に考えられてしまう。
「ん…?なんだあれは…。」
暗がりの中、カーテンの隙間から微かに漏れる部屋の明かりに照らされて、何かが光ったように見えた、
-ベランダの窓は開けておく、しかし絶対に外は覗かないこと。-
暗黙のルールのようなものが、あの日から摺りこまれてきたのか、べランに降り立っても部屋の中に反応はない。
下着はいつものように吊るされている、しかし、吊るされているのはそれだけではなかった。
「鍵…?
まさか…、ふふっ…まさか、その域まで、自ら足を踏み入れたのか…。この女。」
一見すると何の鍵かはわからないのだが、男には心当たりがあった。
真弓への指示だ。
彼女には、自宅の鍵を下着と同じようにして吊るしておけ、という指示を出した。
京子に話したのだろう、それがどう転んだのか、「私だってできる。」とでも言わんばかりに同じ行動をしているのだから。
期待を一回りも二回りも超えてくる京子の行動。
いや、鍵に関しては期待すらしていなかった、にもかかわらずまるで、自分で穴を掘り、自ら身を投げたかのような行動。
その行動に男はその事実だけで果てそうなほどのを興奮を感じていた。
その日も男は、下着を汚し…そして置いて帰るだけのつもりだった。
しかし、気づけばその下着と鍵を手の中に握りしめ、家路についていた。
そして、ちょうどいい…とばかりに、作成途中になっていたメールにこう繋げた。
「それに、これはどういうことでしょうか…?鍵…ですよね…?
どういう風の吹き回しでしょうね…?
おそらく、部屋の鍵…ですよね?形状からして…。
「貴女には」「まだ」、していない指示のはず…。
何を知っているんですか…?そして、どうして鍵を…?
鍵を差し出す意味…、本当に理解していますか…?
貴女の在宅、不在にかかわらず私の判断で家の中を出入りできる…。
私が好きにできる、ということですよ…?
下着だけじゃない…、衣類はもちろん、寝具…、雑貨…、私物の全てを。
貴女だけが利用しているはずの浴室も…洗面所も…、そして、カメラを増やすことも簡単だ。
分かる場所に…?それともわからない場所に…?
そして、自由にできてしまうのは「物」だけじゃなくなる可能性だってある…。
分かりますか…?貴女は鍵を締めずに生活すると言っているのを同じなんですよ…?
まずは適切な回答を…、なぜ鍵を晒すことを貴女が知っているのか、そしてなぜそのようなことをしたのか。
その意味を、理解しているのか…。
そうしなければ、今夜これを返せなくなってしまう。
臭い臭い…雌の匂いが染みついた下着…、こんなものが貴女の部屋のドアノブにでも引っかけられてしまったら…大変ですよねぇ…。」
真弓への指示、あるいは真弓の行動が利用できるならこれほど都合の良いことはない。
そして極めつけには煽るような羞恥、晒しを思わせる妄想を提示し、メッセージは結びとした。
添付ファイルには、鍵の写真。
そしてその後ろには今まさに吐き出されたことが想像できそうなほど、ぬめりとてかりを帯びた精液が大量に付着した京子の下着。
男の家の中に、確実に今、京子の下着が存在しそれを男が自由にできていることを示す状態。
まるで鍵を差し出した以後の京子の生活を物語っているかのようにも思えて。
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