車内戻ってもなお、変わらずフロントガラスを強く叩く雨粒。
それどころかさらに勢いを増しているとさえ感じる。
男はずぶ濡れのまま座席を30度程後ろへ倒す。
そのまま迷いなく、躊躇なく、下半身の全てを露出する。
雨で張り付き、男の欲の解消を妨げようとするかのように引き下がろうとしないスラックス。
それを乱暴に脚で押さえつけ、足から引きずり下ろした。
そんな大胆な行為すら許すのは、この大粒の雨が視界を妨げているが故。
こんな土砂降りともいえる悪天候、そして深夜。
出歩いている人などよほどの物好きだろう。
いたとしてもその全てが傘を開き、わずかな視界の中で家路を急ぐはず。
止まっている車の中など、それが男か女か…、服を着ているかどうかなど気にする余裕もないはずだ。
無論、今の男がそこまでを考えた上での行動かどうかはもはや定かではないが。
「最高だ…、最高すぎて語彙力が下がってしまいそうだ…竹本京子さん…。
そんなに真弓に対抗意識が芽生えてしまっただね…。
カメラの存在に気づいて…、まさか近づき…見せつけるように股を開くとは…。
真弓は、予想はしていてもカメラがそこにあると認識して乱れたわけじゃないからね…。
でも貴女は違う。
そこにカメラがある、見てる、撮ってることを確信した上での行動だ…。」
崩れていく理性、壊れていく常識的な感覚。
堕ちていく女。
それらを身をもって体現しているかのように、身体の変化も、内に秘める本能もさらけ出す京子。
大量に吐き出した男…、雨に濡れ、少しの寒さも相まって、股間は一度委縮していた。
しかし、冷め止まぬ興奮。
一度は萎えたものを、激しく扱き、自らの口で京子を煽るようにそう呟けば、呼応するように股間は固さを取り戻していく。
固さが戻れば、ゆっくりとその興奮を楽しむような動きに変わる。
真面目そうな様相、雰囲気、おそらく真弓から見ても頼れる存在なのだろう。
そしてそれでいて、自らの変態的な行為と欲求を曝け出す相手に選ばれた女でもある。
京子の中にある真弓との葛藤も、男は知る由もない。
しかし、真弓の行動が京子に少なくない影響を与えていることは今日のカフェでのやり取りからこの生々しい現状で変化した京子を見ていれば想像はつく。
「真弓を出しにして、京子を煽れば…もっともっと興奮させてくれるんだろうな…。京子…。
どうする…?今日はイくのかい…?
忠誠よりも、服従よりも、絶頂を選んだ真弓と同じように…。くくっ。」
思考回路の停止、本能のままに求めるものをひたすらに求め続ける性欲の奴隷と化した振る舞いに、男の興奮も留まることを知らない。
この雌犬が、果てる瞬間をリアルタイムで堪能するのも悪くないが、男はまた別の楽しみを想起させる。
ブーン…。
決して大きくはないバイブ音。
しかし、その音は雨音以上に、濡れそぼった股間を掻き混ぜる淫靡な水音以上に、京子の心臓を鷲掴みにするほど冷たく、はっきりと聞こえてくる。
「明日もお仕事なのでしょう?
せっかく差し上げた下着…、身に着けてお仕事できると、やる気も上がりませんか…?
竹本先生…?いや、京子先生かな…?」
真弓からのメッセージの跡、自分にとってどういう存在の相手なのかを少し聞いていた。
もちろんその相手の職業…、そして名前も。
当然、京子はそんなこと知らないわけだが…。
先生…、その呼び方は乱れ切った、興奮という甘美な刺激に染まり切った脳内を一気に覚醒させる。
と同時に思い起こさせる、
-そのパンティ…今も穿いてるの…。昨日から…そのまま穿いてるのよ…。-
真弓の台詞。
しかし真弓は、その下着を着けてカフェに来ただけだ。
京子がその下着を着けて明日をそのまま過ごすことは、同僚、生徒、父兄、あらゆるものの前に顔も知らない男の精液がどろどろに沁み込んだ上、その下着で自らの割れ目を…膣を擦りに擦った、そんな卑猥極まりない代物を身に着けて過ごす、ということ。
変わらず男の言葉に強制力はない。
ここまで来て京子の頭の中に、「従わないと晒される」という感覚が残っているかどうかは定かではない。
次なる興奮を、受け入れるかどうか、その一点のみではないだろうか。
「そうそう…、
そのカメラ…そろそろバッテリーが切れるんですよ…。
今度はもっと良いものを用意しますね…?そうですねぇ…、貴女と生活を共にできるような…。
あ、でもそれ…、type-cで充電可能なんですよ…。」
何の指示でもない。
ただただ、京子を妄想させ、想像させ、かき回すだけ。
今にも果てそうなほどの興奮を与えておきながらも、まるで寸止めでもし開けるようにバイブ音が意識を阻害し、そして男のメッセージが届いた直後、カメラの電源ランプは消灯する。
-もっと良いものを用意し、生活を共にする-
その言葉が意味することをまだ知る由もないが。
…
……
………
「…せい…?、んせいっ。京子先生ってば。」
不意に耳に入ってくる、誰かが京子を呼ぶ声。
振り返れば見知った空間、集まる視線。
京子の担当する学び場、その中の一人が少し前のめりになって声をかけているようだった。
「大丈夫…?ぼーっとしてるよ、ほら、そこ漢字間違えてるし。」
心配そうに声をかける生徒、指摘された間違いが小学生レベルの内容だったこともあり爆笑の周囲。
真面目で優しく、時折見せる笑顔に惹かれる生徒。
厳しいだけではなく、時折見せるユーモラスな対応も人気の一つだった。
純粋無垢、それを絵にかいたような生徒たちが、京子に視線を向けている。
いつものように笑顔を振りまき、指摘してくれた生徒に感謝を述べて間違いを訂正、授業を再開…するはずだった。
くちっ…。
そうしようと口を開き、振り返ろうとした瞬間。
聞き覚えのある水音が、鼓膜を揺らす。
連日連夜、京子を興奮の渦へと引き込む行為、その中で幾度となく響き渡ったあの悪魔的な水音。
とろっと、ぬるっとした感触が、今思い出したかのように股間に纏わりついてくる。
感触に気づけば鼻腔に刺さるような生臭い臭い、蘇る記憶が京子を蝕む。
「なんか、変な臭いしない…?」
「変な臭い…?」
「なんか、生臭い…っていうか…?」
「なんだよそれ、なんともねぇだろ?なぁ?」
「うーん…、言われてみると…そんな気がしないでもないような…。」
「先生、どうおも…」
キーン…コーン…。
生徒たちの言葉を遮るように、京子を救うように、高らかにチャイムが鳴り響いた。
【こんばんは。
いつも素敵すぎて、読むのがとても楽しいです。
いつも長文をくださっているので、お疲れじゃないか少し心配しています。
あまり負担にならない程度でも構いませんので、気楽に描いていただけると嬉しいです。
やはり長くお付き合いしたいので。
少し別のシーンを盛り込んでみました。
京子さんの妄想、葛藤、そして自慰、堪らないのですが、そればかりを私が楽しむのも申し訳ないので。
といっても、ベースはあまり変わりませんが。
以前にもお伝えしたように要望等あれば、仰ってくださいね。】
※元投稿はこちら >>