わざとらしく、ちらつかせた別の女の存在。
それがどれほど京子に影響を与えているのか、現時点で男は知らなかった。
当然だが、下着を盗んで事に及んでいる対象は京子だけではない。
真弓という女の下着も、対象になって…いるかもしれない。
しかし、京子が真弓から話を聞いたことも、自分が手をかけている他の女の中に真弓が存在することも、知らないし確証もない。
あるのは、対象は他にも確かに存在している…という一点のみ。
そして京子にとっては、友人が被害に合って…自分も同じ目に合っている…という部分。
不確定要素が混ざりつつも、結果として京子という女をより楽しむスパイスのようなものになっている可能性を感じていた。
そんなことを考えながらメッセージを送った数時間後。
太陽も姿を消し、徐々に少なくなる人通り、男は特に帰宅するでもなくそのまま車の中で休息もかねて横になっていた。
決して遠くはない位置に自宅はあったが、震える身体、その興奮がその場を離れさせようとしなかった。
「良い時間だな…。」
日付を跨ごうか…という手前の時間。
徐に車から降りると京子のいるであろう部屋のベランダまでやってくる。
すっとその中へと入りこめば、今回の目的は下着ではない。
鮮やかな色の下着たちが吊るされているその様を、名残惜しくも想いながら男がそこに設置したのはカメラ。
今度は至近距離。
きっとあらゆるものを逃すことはない。
仮に気づかれたとしても、どれまでのデータが全てリアルタイムでデータ送信されている。
加えて、別で脇に添えているのは昨日からの盗聴器。
徐々に剝がされる京子の表の顔。
そっと、その場を離れその時が過ぎるのを待つ。
「さぁ…どうしますか…。京子さん…。
今日という安息の時間を堪能しますか…?
それとも、別の被害者を同じ行為を…、同じ状況に貴女も身を置きたくなったのでしょうか…。」
時間が来る。
案の定、カーテンの隙間から少し光が漏れた。
それも一瞬ではない。
こんな夜分、窓を開けることなどあり得ないが、確かに少しの風でカーテンがそよぐのが見えた。
さらにはその状況がしばらく続く。
そう、もう一人の女に送った指示と同じ状況を作ったのだ。
「どれ…。」
車内で早速とばかりにPCを開く。
送られてくるデータの確認、ラグは数秒…というところだろうか。
問題ない、欲しいのは内容の確認1分1秒の正確な情報が欲しいわけじゃない。
そして情報の一つが漏れだしてくる。
「なるほど…真弓…。
そうか…、あの女と知り合いなのか…。
それも、この口ぶりだと…、少なくとも相談を受けている…そんな感じだろう。」
その夜初めて得る確証。
京子と真弓の関係性、二人揃って獲物として男の慰み者になっているという事実。
さらに高まる興奮。
「上手く使えば、さらなる変態へと変貌してくれそうだな…京子…。」
晒されていく二人の女。
結果として真弓、という女の情報すらも、勝手に垂れ流している京子という極めて被虐性の高い女。
溢れる妄想、盗聴器から鮮明に聞こえてくる喘ぎ…本心。
カメラの存在には気づいていない。
忠実に「真弓への」命令を実行しているのがよくわかる。
そしてその口ぶり…、その様子をきっと盗撮されていると理解している。
口ぶりは真弓が盗撮されている、と思っているのだろうが…、その指示が自分宛の物であっても変わらい振る舞いを見せただろうと思わせるほどに戸惑いも、躊躇もなく、ただただ艶やかに映える興奮の色だけを感じさせる。
「盗撮されているよね…」
はっきりとそう口にしながらもその手は止まらない。
「最高だな…京子。」
男も同様にその場で露にする下半身。
必要最低限の視界。
その他をフィルムで覆ったその車内は、よほどでない限り中の様子は見えない。
大胆にも下半身に纏ったすべてを脱ぎ捨て、現れる欲望の塊は既に激しく反り返り、天を仰ぎ脈を打つ。
「はぁ…京子…。
本当に変態なんだな…。
知られて興奮するのかい…?自慰を…いや、毎晩のように晒すオナニー…見られることに興奮するのかい…?」
徐々に激しくなる刺激。
強く握りしめ、上下するその指先。
知らぬ女がそんな様子を見れば、痛くないの?と心配しそうなほど、荒々しく強く扱く男。
見られている、聞かれている、知られている。
徐々に、しかし確実に、文字通りの丸裸へと向かい、遂に自らの足でも歩き始めている。
今までになく、興奮を感じながらも、その出会いに感謝したいほどの優越感。
数分程度の真夜中の淫靡な時間。
果てることなく、大きく染みを作った下着をそのままベランダに置く姿が映り込む。
律儀に、というべきか、決して顔を出さず、腕だけを伸ばして。
自分自身の興奮と快感以上に、この状況を求めているかのような行動。
まるで贄…、いや、貢ぎ…。
彼女にとって、下着はもう奪われるものではなく、捧げるモノ、へと昇華したのかもしれない。
「はぁ…はぁ…はぁ…。」
手元ではどろどろの濃い白濁液が、慌てて引き抜いたティッシュペーパーの中に吐き出されていた。
連日にもかかわらずこの濃厚さ…、慣れた自分の匂いとは言え、一瞬鼻を摘まみそうになるほどの濃い雄の匂い、生臭さを放っていた。
「どれどれ…。」
そして画面を切り替えると、そこに映っているのは別の女、真弓。
京子より先にカメラを仕掛け、撮影していたのだ。
しかし、真弓の様子は…、京子とは少し違っていた。
恥も外聞もなく、既に一糸纏わぬ姿。
ベランダの窓ぎりぎりにまで体を、主に下半身を寄せて、溢れる愛液の滴る割れ目を余すことなく見せつけている。
彼女も、京子同様、盗撮されていることを理解していた。
そしてこの振る舞い…、壊れつつ理性とつまらない欲求。
しかし京子と真弓の決定的な違い、それは…。
「こいつはイったのか…。」
果てる手前で、まるで立場を理解したかのように引き抜いた下着を差し出した京子。
見られることに興奮を止められず、自らの性欲に従い絶頂まで走ってしまった真弓。
どちらも魅力的。
しかし、男がより興奮を感じたのは、やはり京子の振る舞いだった。
京子に伝えた通りにする為、その日の京子へのアプローチは避けた。
しかし、代わりに。
「今日の出来事を…、信頼できる人一人に話せ。
事実のみだ、余計な脚色は要らない、もちろん嘘は論外。
その様子は録音し、送ること。いいな…?
分かってたんだろ…?盗撮されていたことは…。」
京子とは違う口調…いや、表現。
回りくどくはなく、命令口調で用件だけを伝える内容。
そのメールが送られる先は、やはり真弓。
「電話じゃなく、会って話せ。必ず。
切羽詰まっているように、いかにもという感じでだ。
明日中に録音されている内容が届かなければ、終わりだと思え。」
互いの関係がどうなるか。
真弓の話を聞いた京子がどう反応するか…。
楽しみは止まない…。
【大丈夫ですよ、本当にお気になさらず。
私の方も、読み返しながら返事を描いていると何度も手が止まってしまって時間もかかっていますから。
現状に物足りなさはありませんか?
少しずつ話は進展していってますが、こういう方向性も入れてほしいなどあれば貴女のお気持ちも聞かせてほしいです。
真弓という存在を改めて認識したことで、別角度でアプローチをさせたいと思っています。
少しお手数ですが、二役シーンになってしまいますね、すいません。
手間が多いと思うので、文字数的な意味で基本会話分だけで本当に結構です。
そして京子が感じたことを中心に描いてもらえれば。
さすがにイ気はしない…、という上から目線で聞くのか。
イってことを羨ましく思うのか。
あるいは、それで泥棒は悦ぶと思うのか?と、疑問視するのか。
京子さんの変化の見える会にしたいと思っています。
本当に毎回レスが魅力的なので少し甘えてしまっています。
詰まらなければおっしゃってください。
私もできる限り、いろいろ考えてお返ししたいと思っています。】
※元投稿はこちら >>
下着を盗まれて。