友人の告白から迷い込んでしまったような非日常の世界。
下着を盗まれ…悪戯されて…汚されたものが返されて…。
どこかで行われていた卑劣な行為が、昨日は私の部屋のベランダで行われた脅威。
確かにそこに…窓ガラス1枚隔てた外側に、何者かが侵入し下着を物色して汚していたと考えれば、それは不安や恐怖や嫌悪以外の何もでもないはず…。
呆然と見つめるパソコンの画面には、そんな常識など感じさせない私の姿が映し出されている。
「盗撮…されてたんだ…。ベランダで…立ったままの…私…。」
映像は不鮮明ながらも、その行為そのものは雰囲気でわかる。
淫らな言葉を口にしながら…甘い吐息…いや…喘ぎ声を響かせながら自分自身を慰める淫らな姿。
ベランダに侵入された事は前回の盗難で確信はあった。しかし昨日は…私のテリトリーと言うべきベランダで下着が悪戯されて汚されるあり得ない行為が私を狂わせ、ベランダでの自慰行為へと導いた。
「こんなに…イヤらしいんだ…私って…。」
今までは一方的な被害者であったはず。
しかしこの姿を晒してしまえば状況は圧倒的に私が不利に変わってしまった。
放って置けば何も起こらないのかもしれない。
仮に業を煮やして映像がバラ撒かれたとしても、この映像の不鮮明さでは私だと特定することは難しかったかもしれない。
それでも私がコンタクトを取ってしまった理由…。
手紙の中に示されたもう一人の女性の存在。
「もしかしたら…真弓かもしれない…。家も近いし…あの子の部屋も1階だし…夜は真っ暗…おまけに敷地にある高い生け垣が周りからの目隠しになるし…。」
友人の部屋を知る私が立地から推測すれば、私の部屋よりも被害に遭う可能性は高い。
そんな友人が…私よりも更に真面目で純情そうな友人が…本当に下着泥棒によって悦びを与えられてしまったのだろうか…。
「いったいいつから…下着を盗まれてたの…?
何回盗まれてたの…?いつも汚されて返されてたの…?いつから…悦びを覚えたの…?」
そんな言葉が無意識に吐き出された私の視線は見るともなく虚ろな視線を意志とは無関係のように注がれる。
パソコンの画面に映る私の淫らな姿。それは手紙に書かれていた悦びを…表しているようにしか見えなかった…。
卑劣な行為によって引き出された快楽…。
悔しさも混じる切ない悦びとも言える…。
「あの子は…真弓は…悦びを与えられて…どうなってしまったの…?今は…あの子は…何をされているの…?」
それでも『貴女ほど早くはなかった…』と言う言葉が気になっていた。
その言葉はまさに他の女性と比較されている事に間違いはなく、不思議と対抗心のようなものが心の中に湧き上がる。
あの子が悦んでるなら…私だって…。
あの子が楽しませているなら…わたしはもっと楽しませることができる…。
何故か湧き上がる得体の知れない対抗意識。
ハッと何かを思いついたように顔を上げる。
色々と想いを廻らせる中で気づいた事…。
あの日、カフェで告白された時の友人の表情。
羞恥に染まり俯く顔色。それは怒りや嫌悪といった負の感情だと思っていた。
それに同調するように私も憤りを露わにし友人を慰めようとしたつもりだった…。
しかし…今にして思えば…友人はその続きを語ろうとしていたのかもしれない。それを言わせなかったのは私の怒りの表情だったのか…。
「あの表情…あの子…羞恥を与えられて…悦びを感じていたのかも…。」
何故か燃やしてしまった対抗意識。
友人の羞恥の表情の裏側に、どんな行為が隠されているのかという興味。
それが今は羨ましさすら感じる…。
ふと思いついたようにクローゼットの中の抽出から下着の類いを全て引き出し、部屋中に散らかる下着達を眺めながら…。
「洗濯物を干すだけ…なんだけど…。下着だけを…ベランダに干すって…不自然だよね…。」
さほど羞恥を感じることもない指示だと思っていたものの、改めて散らばる下着を眺め、これらが干されている様を他人が目にする様子を想像すれば羞恥が込み上げてくる…。
「こんなに下着だけを…昼間も夜中も…干しっぱなしなんて…。」
妄想の世界に引きずり込まれそうになりながら、部屋に散らばる下着達を吊すと、ベランダにぶら下げた…。
風に揺れる下着達を窓の中から眺める私。
下着を全て…と言われた為に、パンティだけではなくブラやストッキングまでベランダを埋め尽くし、部屋の中への視線を妨げるほどにユラユラと揺れていた…。
【遅くなりました。ホントは昨日の夕方には投稿できるはずだったのですが、どういうわけか途中まで打ち込んだ文章が消えてしまって…。
もうホントに最後の場面に差し掛かる辺りまで打ち込んでいたものが消えてしまって…。
改めて打ち直すまで少し時間がかかってしまうし、出来栄えは良くないし…。】
※元投稿はこちら >>
下着を盗まれて。