盗まれる瞬間に気づくことができず、京子が深い眠りに落ちている頃。
男は満足げな笑みを浮かべ、ポケットの中に盗んだ直後の下着の存在を感じながら家路についていた。
「確か、30くらいの女だったよな…。
スタイルも悪くなかった…、今日は当たりだったぜ…。」
暗がりの中を辛うじて照らしてくれるのは月明り。
そんな月明かりを透かすように、男は顔の上に盗んだばかりの赤い下着を広げてそんなことを呟いた。
周囲に人がいればただの変質者、しかし、時間も場所も、人がいるようなところではない。
そのまま覆うように顔に当て、大きく息を吸い込む。
「はぁ…この瞬間が止められない…。」
男はスリルを求めた。
必ず家につく前に盗んだ下着を広げて確認する…そして、嗅ぐ。
洗いたての下着だ、もちろん体臭も生々しいアノ匂いもすることはない。
それでも男は、「新鮮」と命名する干して間もない下着を顔に当てる…ルーティンのように。
「しかし…なんで今日に限って下着を外に…。
あの家は、下着どころか洗濯物ひとつかけていたことがなかったからノーマークだったんだが…。
いったい…。」
男の疑問はもっともなところをついていた。
直近で友人の話を聞かなければ、その日もいつもと同じ部屋干しだったはず。
何かあったのか…、そう推測する男の読みは概ね正しいのだろう。
だったらなぜ、そうなったのか…。
自分の耳にも入るほど、近隣では下着泥棒が噂になっている。
そんな中で下着を外に出す…その理由はいったい何なのか…。
「もう少し様子を見るのもよさそうだな…。ちょっと仕掛けてみるか…。」
犯罪者に備わる悪知恵、そして予感。
男は家に着くや否やその日の疲れを癒すようにベッドに横たわる。
そして、ポケットから改めて下着を引き抜くと、明るい室内でもう一度広げた。
鮮やか赤色…だったのだろう。
しかし何度も履き、洗濯を繰り返し、少し色あせているようにも見えた。
それだけ使用感のある下着、男が他の色ではなく、赤を選んだ理由はこれだった。
何度も何度も、女の恥ずかしい部分と共に生活してきた下着。
その使われた様相に、男の股間は痛く興奮する。
「シミ…おちてないぜ…?」
広げたクロッチ部分を見つめれば、こびりついた染み。
幾度となく使用されれば、一度の洗濯洗浄くらいでは取れない。
いや、洗濯機での洗浄ではもはや取れないのかもしれない。
「ん…は…。」
その落ち切らない染み、大胆に口に含み、しゃぶりつく。
滲む唾液の跡、薄い笑みを浮かべながら男は纏うものすべてを脱ぎ捨て、全裸になる。
「はぁ…はぁ…これだよこれ…この瞬間がたまらない…。」
クロッチ部分を亀頭に押し当て、包み込むようにして下着をかぶせるとゆっくりと扱いていく。
一般成人男性の平均と違わないサイズのそれは今日この下着ですっぽりと覆われ、その感触を味わいながら男は握る指先を上下させる。
徐々に滲んでくるクロッチ部分のシミの広がり、欲望の先走りがクロッチを汚していく。
「は…は…は…。」
夢中で扱く男の指先、腰が揺れる。
久しぶりの収穫…そして、使用感…肌触り…高水準を満たす京子の下着に包まれ、男はあっさりと果ててしまう。
「はぁ…はぁ…。はぁ…ははっ…。
さぁ…どうして外干しを選んだのか…。確かめないとな…。」
…
……
翌日、週末ということもあり、男も京子も休みの様だった。
そして男は大胆にも変装を重ねて、京子宅を訪問。
「お届け物ですー。
どなたかいらっしゃいませんかー?」
残念ながら外出のタイミングだったよう。
封筒の中に、昨夜のべっとりと精液がついた下着を忍ばせ、ドアポストに、メッセージを添えて。
<素敵な下着でした…、またぜひ…。>
薄く笑みを浮かべた男はその場を後にする。
当然、その日の夜もまた、京子の家のべランダに足を運ぶ予定にしながら。
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