『ん…っ、そう、ね…あまり急すぎても愛美も思春期だし』
腰を抱かれてそう言われた由香里は少し残念そうな顔をしながらも朝倉の言葉に従うように頷いた。
愛美に見せつけるようにお尻を撫でられているにも関わらずまるでそれが二人の日常かのように気にした様子がない。
むしろ嬉しそうに朝倉に身体を擦り付けている母の姿に愛美は息を飲んでしまう。
自分に見せる母親の顔とは打って変わって朝倉に向けているのは女の顔だった。
娘の前だというのに愛美が目に入っていないのか、それとも朝倉しか見えていないのか。
そして朝倉から発せられた言葉の真の意味に愛美は気づいてしまった。
週に2、3日、ではなく2、3回。
それはつまり由香里との行為の話だろう。
わざと愛美に気づかせるような分かりやすい言葉。さらにはそれを母も享受してしまっている。
何も言えないままでいると二人は当たり前のように腕を組みながらリビングへと入っていく。
愛美も慌ててその後を追うようにリビングへと向かった。
『少し早いけど私はお夕飯の準備をするわね。二人はリビングでゆっくりしていて』
「お、お母さん。私も手伝うよ」
『気にしないで愛美。お母さん一人で大丈夫だから、それより雄介さんの相手してあげて。
雄介さん、今日貴女に会えるのを楽しみにしていたのよ』
「でも…」
『じゃあお願いね』
一人キッチンへと入っていく母の後ろ姿を見つめながら立ちすくむ愛美。
朝倉と二人きりになりたくなかったのに母に頼まれてしまえばどうすることもできない。
朝倉を見れば何事もないようにソファーへと座り出されたお茶を口にしている。
結局愛美も渋々といった様子でテーブルの前に座った。
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