「…っ、う、うん…よろしくね朝倉さん…」
初対面を装ってくる朝倉から逃げるように手を離す愛美。
明らかに動揺を見せるその様子からパパ活のことは母親には知られたくないようだった。
『あら、私愛美の名前を雄介さんに教えていたかしら?』
「ー…ッ!」
キョトンとした顔でそう言う由香里に愛美の肩が一瞬ビクッと揺れた。
知り合いだとバレたら母を裏切ることになる。
どうしようと内心焦っていたがそれを「前に話した時に教えてくれだじゃないか」とさり気なく誤魔化した朝倉に思わずホッとしてしまう。
母は朝倉を信用しきっているらしく、その言葉にもあっさり納得したようだ。
そんな母に後ろめたさを感じながら朝倉を見ればニコニコと母と会話しながらも時折横目で愛美を見つめてくる。
吟味するかのような視線に無意識に腕で身体を隠すような仕草を見せる愛美。
そんな愛美を母は緊張してるのだと思ったのか背中を押して朝倉の隣へと並べた。
『お母さんね、雄介さんと再婚しようと思ってるの。愛美はどう思う?』
「え…っ!?」
母にそう問われ思わず声を上げてしまう。
再婚だなんて、ということはこの男が自分の父親になるということだろうか。
それは…そんなことは…
幸せそうな母に嫌だとは言えない。
だけど自分と朝倉との過去を考えるとゆるされるはずがない。
どう答えていいか分からず愛美は言葉に詰まってしまう。
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