『あ、そうだ愛美。今度の休みに紹介したい人がいるから家にいてね』
夕飯を食べながら母親にそう言われて、そういえば新しい恋人が出来たって言ってたっけ…紹介したいってその人のことかな?
と、深く考えずに「わかった〜」と生返事をした愛美。
ずっと母子家庭で仕事ばかりしていた珍しく母が楽しそうにしている姿に娘としては嬉しかった。
はずなのに…
こんにちは。
約束の日、そう言って人当たりの良さそうな顔で挨拶をしてくる男に愛美は一気に血の気が引いた。
目の前にいるのは愛美が中学の時にパパ活で何度も会っていた男だった。
連絡も消して、もう二度と会いたくないと思っていたその男に差し出された手を愛美は微かに震える手で握った。
「こ…こんにちは…はじめまして…」
俯き加減でそう挨拶を返す愛美。
顔を見られたくない。相手は忘れているかも。
そう思っていたが男の指が握った愛美の手を確かめるようにゆっくりと撫でてくる。
驚いて思わず顔を上げれば男と目が合ってしまい、その目は確かに愛美を認識しているようだった。
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