春馬のドタキャンは3人を愕然とさせた。
基本的には家で過ごすことが多く、秋菜、千夏と出かけることはこれまでほとんどなかったからだ。
もっともらしい千夏の意見もあったが、そもそも圭祐は課題に自由研究なんてものがないことを知っている。
つまり、春馬がキャンセルの口実にしたことはその場で明らかだったのだ。
もともとそんなに嘘が上手くない春馬、秋菜もその嘘をあっさり見抜いていたようで、二人でこそこそ何か話しているのも少し見えた。
春馬がキャンセルしたことは正直どうでもよかった。
察した秋菜が3人で行こう、そう言ってくれたからだ。
弾む心を少し抑えながら、二人とのショッピングモール。
人目もある分何か起こる…とは考えにくいが、シンプルに楽しみになっていた。
後々聞けば、春馬の嘘はやはり事実。
茜の名前を聞けば、あの時のことを少し思い出していた。
悪いな、と春馬は言ったが、別に羨ましいとも思わず、むしろ感謝だった。
ジワリと滲む汗を拭いながらやってきたショッピングモール。
空調の利いた館内はやはり涼しい。
久しぶりに見るほどの人の多さに少し疲れそうになるが、両脇の女性の存在ははやり大きい。
ウインドウショッピング重ねながら、お決まりの男放置での女の買い物もしばしば。
さすがにランジェリーショップに一緒に入るのは気まずい、待たされてよかったとさえ思う。
秋菜に誘われる形でやってきた映画館。
大きなスクリーンと大型スピーカーから得られる演出はやはりテレビとは格が違う。
あまり得意なジャンルではなかったが、話しの流れで二人の手を握ることができた。
まんざらでもない悦び、興奮。
それだけで少し勃起しそうになっていたのはさすがに内緒の話。
(最高の一日だな…。春馬がいたらこうはなってない…。
そっちはそっちでうまくやれよ…春馬。)
気づけばきゅっと握る手に力が入る。
意図したものはなかったが、その手は意識させるには十分な行動。
より大きな反応を見せたのは果たして…。
【喜んでいただいて嬉しいです。
こちらも、いろいろな展開に導いていただき、楽しませていただいています。】
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