「あ、お前っ、圭祐、ちゃんとやれって…お前が戦わねぇと俺じゃ勝てねぇクエストだって何回も言ってんだろっ?」
秋菜がパートに出てしばらく経った頃。
春馬と二人で早速とばかりにクエストを進めていた。
必死にクリアを目指す春馬とは対照的に、心ここにあらずといった状態の圭祐。
その視線の先には洗濯物を干している千夏の姿。
春馬と千夏の部屋は隣り合わせ、ベランダは共通といった造りになっていた。
「悪い悪い…、ほら、これで回復しろよ…。あと、これとこれ…これでだいぶ楽だろ…?」
春馬の実力では簡単には手に入らないアイテムがポンポン送られてくる。
そんな気前の良さに、数分前のクエスト失敗をあっさりと水に流す春馬、単純。
それが故に、この不自然な居候に近い環境が自然な物になりつつあるのかもしれない。
「ちょっと休憩な…。このクエストなら一人でも稼げるだろ…?ちょっとランク上げといたらいいんじゃないか?」
洗濯物を干し終えた千夏がその場を後にしたころ、それらしい理由で春馬をゲームに釘付けにしながら、気分転換を装いべランダに出る。
さりげなく部屋の様子を覗けば、クエストに夢中の春馬。
そんな様子には少し笑ってしまいながら、外部からの覗き防止のためのバスタオルとサラッと内側から捲れば、見えたのは千夏の下着。
それも、本当に乾かす気があるのか…と感じるほど圭祐自身のボクサーパンツとの距離が近かった。
(千夏ちゃん…、もしかして俺より…。)
ぐっと股間が熱くなるのを感じる。
太陽がまだ昇り切ってもいない、昼前の時間帯。
昨夜から尾を引くように、焦らすような興奮が昂りを感じさせた。
程なくして茜という女の子がやってくる。
千夏のクラスメイトだということは、互いの紹介ですぐにわかる。
最も、春馬を訪ねてくる女の子がいるわけもないので、紹介されなくてもわかるわけだが。
千夏も整った顔立ちにスタイルも良かったが、茜もまた種類の違う魅力を放っていた。
肉感的な、柔らかそうな体つき。
発育も千夏よりも良く、黙っていても男の視線を集めるタイプの厭らしい体つきをしていた。
「え、いや…どうも…。」
社交辞令的に可愛いと言われ、動揺しながら一応の相槌を返す。
春馬と共に、ゲーム機を片手にどこで時間をつぶそうか考えているところだったのだ。
友達が来るから出ていけ、こんなことは姉と弟の関係性を考えればあるあるなのかもしれない。
決して、嫌ではなかったがさすがにこの暑さ…、場所の問題は大きかっただけに、茜の
「一緒に遊ぼうよ。」
この言葉はある種の救いではあったが、初対面の自分にとってはさすがに動揺は隠せなかった。
「え、一緒に…?い、いや悪い…ですよ。」
千夏の同級生…と考えれば、年上なのだ。
千夏や春馬同様にタメ口で言葉を返しそうになりながら、無理やり丁寧語に修正して言葉を返す。
「つか、いつまで触ってんだよ…やめてよ、茜ちゃん。」
頭を撫でられながらもそれが長く続けば、圭祐の目もあってか恥ずかしそうに振り払う春馬。
しかし、一緒に遊ぼう=暑い外に出なくても良いんだ、という安直な考えにはすぐに至ったのか。
「まじ?ラッキー…外暑すぎるもんなぁ…。
でも、一緒に遊ぶとか…茜ちゃんゲームやるんだっけ…?そんなイメージないけど…。」
と、圭祐の都合も蔑ろに話が進み始める。
【ペースは気にせずで大丈夫ですよ。
返事が難しいときはおっしゃってもらえれば待ちますので、楽しめるタイミングで楽しみましょうね。】
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