「良い顔をするじゃないか…花崎…。
そう言うのを見たかったんだよ…。俺は…ずっと…ずっとなぁ…。」
文字通り死に物狂いで口にした酒、が、まさかの追加される現状。
絶望という言葉が相応しく感じられるほどに、良いの回った赤らめたその表情は、対照的な蒼白へと変化したように思えた。
目尻に浮かんだ大きな涙の粒が、筋を作って頬を伝う。
営業は身嗜みも重要。
ナチュラルめだとはいえ、しっかりと施された化粧。
その日々の頑張りをまるで消しゴムが通った後かのように、惨めな涙がかき消しているようにも思えた。
「おっと…、危ないぞ…?ぐふ…ぐふふ…。」
覚悟か、諦めか、姑息で卑怯な手に言葉を返さずおもむろに立ち上がった花崎は少しバランスを崩す。
狙いすましたかのように一緒に立ち上がった汗本がフォローするように、にやけた笑みをそのままに花崎の身体を支えた。
屈辱、絶望、羞恥、怒り、あらゆる負の感情を酒という名の調味料でぐちゃぐちゃにかき回されたような、最低の心境。
そんな誰もが花崎の心中を察するレベルで視線を送る中、そっと腰を支えるようにして尻を撫でながら、
汗本は少し赤らんだ肌に生える黒の下着越しに見える柔らかい双丘を凝視する。
花崎から滲み出る嫌悪感は、今までにはないほどに強い。
そんなことに気づいてもなお、男たちのにやけが止まることはなかった。
視線が右往左往するのがわかる。
周囲の視線への嫌悪、サイドを固める上長への嫌悪、姑息な手段で追い打ちをかける同僚への嫌悪、それを知りながら誰一人として助け舟を出そうともしない取り巻きへの嫌悪。
もはやその表情は睨む…を通り越して殺意を感じるほどに。
しかし、行動しないことはさらに状況を悪化させるだけ。
この場を何とかしのぎ、突破さえすれば…と思っているのかもしれない。
ぎりぎりの精神状態での行動、ブラのホックを外す。
いくら泥酔状態に近いとはいえ、羞恥という感情が反射的にその形の良い膨らみを隠させた。
と同時に、まだショーツが残っているとはいえ、「下着を外させた」ということ自体が、下衆な男達に勝利という感覚を間違いなく認識させていた。
どよめきは起こる。
ただ違ったのは、ブラウスを脱ぎ捨てた時ほどのどよめきではなかった、ということ。
それは「脱ぐと思っていなかった女が一枚でも自らの意志で脱いだことへの驚き」と「もう脱ぐしかないだろう。」そう思われていることの差だった。
状況は全く違う。
下着姿にすらまだならないブラウス一枚と、全裸一歩手前。
にもかかわらず、男にとっては想定外ほど甘い蜜なのかもしれない。
そう考えるなら、良くも悪くも花崎が今感じている羞恥心ほど、男たちは悦んでいない、ということになる。
なぜなら、脱ぐと思っている最後の一枚がまだ残っているからだ。
「脱がないならコレ飲まなきゃな。」
上半身をあらわにしたことで反射的に自我、理性が身体を硬直させるも、この汗本の言葉は引き金だった。
プチン…、そんな音が聞こえた気がした。
ブラのホックではない。
花崎の中の必死につながっていた糸のようなものが抗い虚しく引きちぎれてしまったような、そんな音。
声にならない声…悲鳴か…恐怖か…。
そしてじっとその様子を見つめていた禿田。
「いいねぇ…実にいい…。これでお猪口はあと一つ…。
あと一つだ…。」
恩着せがましく、一つを除いたお猪口を全て空にして見せる禿田。
しかしその視線は、うっすらと身体に鳥肌を浮かび上がらせ、身震いしている花崎の変化を見逃してはいなかった。
「どうかしたのかい?花崎…。
ほら、最後の一つ…、これさえ飲み干せば…。
解放されるかもしれないんだぞ…?もう脱ぐ服はないんだ…飲むしかないぞ…?
どうした…?そんなに汗びっしょりで…。ふふっ…少し…飲み過ぎたのかな…?」
花崎を支える汗本とは反対側で立ち上がり声をかけるその様子は、花崎の尿意に気づいていた。
そしてその尿意を煽るように、つーっと…股間を隠すのに必死で動かせない手の隙間、下腹部あたりをそーっと撫であげる。
言葉では終わらないセクハラ…。
もう状況そのものがセクハラなのだ、今更直接触れたからと誰が何を言うでもなく、只盛り上がりを見せるだけ。
そして同時に禿田は筋山に視線を送る。
にやりと笑みを浮かべた筋山はもちろん、店員など呼ばず自ら厨房へと赴くと、そっとビールの大ジョッキを持って戻ってくる。
さらなる屈辱…羞恥、留まることを知らない地獄の飲み会は終わりが見えない。
【具体的にご教示頂きありがとうございます。
全く問題ありませんので、可能な限り盛り込んで描いていきたいと考えています。
引き続き、こういうのが好きというのは具体的に言っていただける方が私も誤解なく進めていけるので、お手数変わらないスタンスでお願いできればと思います。
斎藤の役割というか立ち位置的なところに関してもありがとうございます。
先輩を助けたいという思いは嘘ではない、が、それを行動する勇気のない情けない男なだけでなく、目の前のらっきーすけべも拒めない…。
もはや上司たち以上のクズ…のような気もしてきますね、こうなると…(笑)
でもそんな斎藤を知っても知らずも、花崎さんは足蹴にできなければ、見限ることもできないような、一緒に奈落の底へ引きずりあうような流れ、とても興奮する。
ただ、おっしゃるようにリクエストのし過ぎが想定外をなくしてしまう、というのは一理ある気もするので、都度都度でなくてもいいのかもしれません。
あるいは、一連の描写の後「〇〇のあたり良かったです、濡れちゃいました。」みたいなフィードバック形式な回があるのも楽しみの一つになるかもしれませんね。
感激しかない…、嬉しいお言葉です。
私のレスに関して懸念しているのは、前レスからの引っ張るボリュームですね。
ざっくりというと、花崎さんのレスの8、9割を拾って、1,2割の次への流れを含ませる。ような感じでやっているのですが、このテンポ感はどうかな?と思いまして。
現状私は「花崎さんのしたいこと」、「されたいことを漏れなく実行したい」が一番上にあるので、時系列の進行的なものは、花崎さんに誘導していただき、そこへにお返事をしていくスタンスを取っています。
今回で言うと「尿意を催している心理描写」は、ありますが、はっきりそう公言しているわけではないので、「勝手にその前提で話は進めない。」なので、あくまで「異変に気付きつつも確証はない為、かもしれない程度」の行動描写でとどめました。
私も説明が下手で恐縮なのですが、こういう感じでやりづらさはないかなというちょっとした心配です。
すいません長々と、花崎さんのレスがいつも興奮させてくるので、少しでも役に立ちたいといろいろ確認してしまいました。
本編より【】の方が長いかもしれませんね(笑)】
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