脱ぎます。
その言葉にどよめき、ざわめきが起こったのは言うまでもない。
そしてそれは事実上の敗北宣言に近い。
飲み会の開始に遅れたことも、目の前に出された酒が飲めないことも、花崎には何一つ非はない。
いずれかに、いやいずれに対しても、陰謀じみた卑劣な罠だと花崎単独で臨んでいたのなら交わせた、或いは凌いだかもしれない。
しかし、今回は1人では無い。
新卒、斎藤がいる。
そしてその斎藤は自分が指導教育するべき後輩。
その存在が、普段の冷静な花崎の思考回路を鈍らせるのかもしれない。
意図せず足を引っ張るような斎藤の言動も原因ではあるかもしれないが、見方によっては「斎藤の為だから」と抗いきれない自分の行動を正当化出来る理由にもなっているようにも思える。
「せん…ぱい…。」
緊張と取り巻きの熱で汗ばむブラウスに自ら手をかけ、酔いに脳内をぐちゃぐちゃにされながらもその腕を引き抜けば、大凡男たちには晒すことの無い格好に。
視線が胸元に集中する。
にやけながら見つめる者、酔いにかまけ口元から涎が垂れているのに気づいていない者。
禿田、汗本も例外では無い、筋山に至ってはそんな様子を肴に酒を啜り、満足気な笑みを浮かべている。
どよめきの後の少しの沈黙、から、禿田が口を開けば花崎は更なる絶望を感じることとなる。
「さすがだ、契約をあれだけ取ってくる社員はちゃんと誠意を見せられる証明になったわけだ。
斎藤?見習えよ?
さ、「1枚脱いだから、1杯は免除」にしてやろうな…ふふっ。
あぁ、じゃあお前、飲んでいいぞ?花崎の唾液入りの日本酒だ…。」
指名されたのはただの取り巻きの1人。
そして露骨に花崎の唾液入り、と言葉にし下賎な笑いを浮かべたままお猪口を手渡す。
「花崎さんの唾液…、唾…、んく…。頂きますっ。」
やや興奮気味にお猪口を見つめたかと思うと、嬉しそうに一気に飲み干した。
「ほれ、花崎。
残りはどうするんだ?
まだまだ残っているぞ…?」
変態からの煽り。
灼熱の暑さが心身を蝕むような日が続く中、そんなに何枚も身に付けているわけも無い花崎。
全てのお猪口が空になるのが先か…、脱ぐものが無くなるのが先か。
「大丈夫…ですか、先輩…。」
小声で花崎の身を案じる斎藤。
しかし、ブラウスとは言え1枚脱ぎ捨てた魅力的な先輩の体つきに股間は既に反応を見せている。
冷静であれば気づくかもしれないが、酔いもかなり進んだ花崎の目には映っているのか…。
【こんにちは。
出先で少し短いお返事になっているかも知れません。
申し訳ないです。
小スカに関してのご返答ですが、どこまでと言われると難しいので、花崎さんのされたいことを仰って頂けた方が、可否がお答えしやすいかと思います。
基本的には全てお応えできるとは思います。】
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