ガヤガヤとどうでもいい話で盛り上がっていた他の社員たちも、気がつけば花崎や禿田たちの方に視線が集まっている。
普段は生意気で偉そうに周りを見下している(と思われている)花崎が、標的にされていると、物珍しそうに、或いは良い気味だと、遠巻きに観察されていた。
「…私が飲みます…っ。斎藤くんは、黙って見てて…。」
当然、斎藤に飲ませられるわけがない。
一度でも飲んだら、きっと今みたいに次々押し付けられる。標的にされたら、コイツらはしつこい。
(ただでさえ、私のせいで斎藤くんに迷惑かけてるんだから…、お酒くらい…。頑張れ…、頑張れ…っ)
「ごく…っ、ごく…っ」
2杯目も日本酒を一口で飲み干す。
もはや心臓は、運動した時のようにドクンッ、ドクンッと強く高鳴り、一気に体温が上がっていくのがわかる。
節度ある飲み方だけしてきた花崎だからこそ分かる。もう、ここが限界だと。
しかし、いつの間にか次々お猪口が並べられており、今もなお筋山の手で日本酒入りお猪口が作られていっている。
その端には、馬鹿にするように添えられたカシスオレンジ。お酒を楽しむ時ならいいが、今はそれさえもアルコール過多に思える。
頬を桜色に染めながら、じっとテーブルの上のそれらを見つめていたが、斎藤の「飲めます」発言で覚悟を決めた。斎藤はきっと、自分なんかと関わらなければ、この会社でもうまくやっていた。本気でそう思っている。
だからこそ、可愛がる反面、浮いてしまっている自分の後輩にさせてしまったことに申し訳なさを感じていた。
「ごくっ…、んっ、…ごく…っ、ぷは…ぁ。ぁ、ぅ、…、ごく…っ、ん…っ」
斎藤を守りたいという気持ち、それから負けず嫌いな勝気な性格。
そのせいで、カシスオレンジを横目に日本酒を次々と飲んでいく。
お猪口が空になるたびに、「おお」だの、「さすが」だの、わざとらしい言葉が飛び交う。
(これ、何杯目…?やばい、汗止まんない…、声も聞こえ辛いし、吐きそう…。)
顔は桜色に完全に染まり、汗が滲んで額に前髪が張り付いている。
それでもなお、まだ許されない。お猪口を目の前に突き出され、無理やり手に取らされる。
「…すみ、ませ…っ、はぁっ、は…ぁっ、お水ください…。」
流石に一杯の水が欲しくなってくる。左手にお猪口を持ったまま、グラスに入った水を手に取って口をつけるが…
「…ぶふっ!?ぶッ、ゲホッ、ゲホゲホッ!!」
水と言って渡されたのはジントニックだった。
透明なカクテルとはいえ、普通簡単に分かるはず。
目つきもとろんと落ちてきた花崎は酩酊に近い状態であり、それが水でないことすら飲まなきゃ気が付かなかった。
水だと思ってアルコールを飲んだため、盛大に吹き出してしまい、お猪口の日本酒や口内のジントニックが机を汚す。
ブラウスは汗で肌に張り付き、一層体のシルエットを強調し、うっすらとだが、ブラ紐も透けて見え始めていた。
【楽しんでいただけていたら、とても嬉しいです。
斎藤くんの様子も想像していた以上に、私のイメージ通りで、素晴らしいです。
レスについてはこちらも同じで、勘違いをしていたりすることがあるかもしれません。
その際は指摘いただければ修正したり、その点を補完しながら進めてもらったり、とかでお願いいたします】
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