頭を下げて少しの前間が空き、課長である汗本の低い声が響く。
誰のせいで遅れたんだ、と言い返したくもなるが、飲み会が始まってからいきなりモメるわけにも行かない。
ここは社長の知り合いが営んでいるという居酒屋であり、社内と同じくらい透明性のない場所だ。
ここは従うべきと判断し、頭を上げ、鞄を端に下ろし、勢いよく叩かれた禿田の横の座布団に腰を下ろす。
(いきなり調子に乗りやがって〜…。斎藤くんは…、少し離れちゃったけど、大丈夫かな…。)
女性の中では身長が高めな方の花崎も、禿田や汗本に囲まれると、どうしても小柄な女の子に見えてしまう。
そんな中にあっても、斎藤をチラリと心配そうに見つめていた。
花崎の目の前に日本酒が並々に注がれたお猪口が差し出される。
「は、はあ…。えっと、に、日本酒…?別に私、好きじゃ…」
あまり意図が読み取れず、聞き返す。
そもそも花崎はあまりアルコールが得意ではない。
斎藤が初契約を手にした飲みの席でも、ファジーネーブルやピーチフィズなど、いわゆる女の子が好むカクテルを口にするのみ。
その上、要所要所で水を頼むほど。
空きっ腹に日本酒など飲めるはずもなかった。
(…わざとね、コイツら…っ。斎藤くんも巻き込んで、飲まなかったら斎藤くんに飲ませる気でしょ…。)
「…いえ、なんでもないです。禿田部長、お心遣いありがとうございます…。」
お猪口を手にして、隣の禿田部長に会釈し、ふぅっと気合を入れるように呼吸してお猪口に口をつけた。
こくっ、こくっ、と喉を鳴らし、一気に飲み干して見せる。
(マッズ〜…、日本酒って何が美味しいの…?苦いだけでしょ…。とはいえ、飲み干してやったわ!こんなので困らそうたってそうは行かないんだから…っ)
飲めない花崎を詰めよう、という魂胆だろうと思っており、お猪口とはいえ一気飲みしてやったことに、少し勝ち誇った表情を浮かべる。
まだたったの一杯だが、心拍数が多くなり、鼓動が強くなるのを感じる。
「花崎、コレもなかなか美味いぞ。どれ、注いでやるからな」
汗本が徳利を手に持ち、花崎の手にあるお猪口に無理やり注ぎ始めた。
流石に少し目を見開き、せっかく飲み干したお猪口に再度日本酒が満たされていくのを見つめていた。
【リクエストの採用ありがとうございます。お考えの流れやプレイの破綻などがあったりしたら、遠慮なくお伝えくださいね。
花崎の男性経験の設定についてお考えいただき、ありがとうございます。
後者の男性経験ありでいきますね。
普通の恋愛をし、大学時代には同棲もしていて、相手から求められたら生理じゃなかったらするし、花崎から求めることもありました。
それは相手を愛しているから。好きでどうしようもないから、セックスをするし、それは愛を確かめる手段だと考えていました。
しかし、相手の浮気を知り、男にとってのセックスは、ただの性欲処理。「本当の恋や愛じゃないんだ」と悟り、軽い男性不信になっている
という感じでお願いします。
…それと、文章量なのですが、本当にすみません。
私も「長くない?」と思いつつ、序盤で後輩くんと仲良くしている場面をやりたかったのですが、非エロの部分をゆったりやっても…と思い、いっぱい詰め込んでしまいました。
こちらが募集しており、あれこれ注文つけてしまった手前、あまり受動的になりすぎるのも…と思い、肩に力が入っていたかもしれません…。
今回くらいでどうでしょうか?
私もあまり重荷にならない程度にしつつ、調整していければと思います】
※元投稿はこちら >>