「い、いや…これは…。」
初見で気づかれる想定外、慌ててその手を背後に回してごまかそうとするが、
期待外れ…通報はしない…、ごまかす言葉を吐きだす前に、先手で追加の言葉が飛んでくる。
「あ、いや…。
よく…わかったね…、あぁ…高校教師だ。
といっても、数学や国語を教えるような教師じゃなくてね…。
こうやって、夜の街を歩いて、君たちみたいな子に声をかけるようにしているんだ。」
更生や指導、という表現は使わないようにしている。
同時に、心配している、安全…などとも言わない。
結局、同じか…と思われては本末転倒。
どこかで、他とは違うと思われる必要があるからだ。
しかしこの余裕はいったい…。
それに、必要以上に短いスカートなのに…重ね履き…。
周囲を期待させて…煽って…笑いモノにしたい…のか…?
なら通報すると脅して良いようにする方が絵的には面白いはず、いったい…。
「もしかして…わざと…?期待させるような動きを…?」
他と違う、と先に思わされたのはこちらだった。
咄嗟に隠したスマホを握った手をもう一度表に出し、問いかける。
男は狂ったように少女を捌け口にする卑劣な教師。
しかし目の前の少女もまた異質な雰囲気を感じさせていた。
※元投稿はこちら >>