ついに告白してしまった。
あの日、部下の高木が言っていたハプニングバーの話を…。
『陽子の前でなんて話をしてるんだよ…。』
トイレの中で他の男の言葉を聞くまでは、高木の話す内容に憤りすら感じていた。
部下の分際で陽子に何を言っているのか…。
もちろん在職中は高木と陽子が同僚であった事はわかっている。
仲が良かったからと言っても今は俺の妻だ…。
そんな想いが強く心を動かし憤りをもたらしたのかもしれない。
いや…違う…。
高木も以前、もちろん私達夫婦が交際する前のこと…。
『陽子ちゃんのあのおっぱいは最高だよな…。』
『一度でいいからあの谷間に顔を埋めてみたいもんだよ…。』
そんな言葉を耳にした記憶が蘇ったからだった。
『高木のヤツ…。』
そんな憤りを吹き飛ばし、心の隙間に芽生えた悪魔に囁きをもたらしたのはトイレの中の見知らぬ男達の会話だった…。
「あの日…高木が言ってただろう…?ハプニングバーって…。」
そう切り出した言葉に陽子の顔色が変わった。
真面目で清楚な妻がハプニングバーと聞いただけで顔色を変えると言うことは…。
『高木のヤツ…俺がトイレに行ってる間に…。』
陽子にハプニングバーがなんたるかを説明したのだろう…。
もしかしたら高木は夫のこの俺を差し置いて妻の陽子をハプニングバーへと連れ出そうと企てたのかもしれない。
そんな邪心すらも今の私にとっては昂りと化す乱れた内心…。
「何かするって…事でも無くて…。見学…そう見学だけでもいいから行ってみないか…?」
不安そうに表情を曇らせる陽子を見て、ここまで恥を忍んで告白した事が無駄になると思い、必死に断られない道筋を探すように言葉を選んでいた…。
「何とか今日まで抗われずに辿り着いたな…。」
一度は承諾してくれた妻ではあったものの、時間の経過と共に考えを重ねたに違いない。
その中で拒否すると言う答えを導き出さないとも限らない不安を抱きながら日々を過ごし、無事に今日を迎えたのだから…。
「やっぱり週末は人が多いな…。陽子はどこに…。」
比較的大きな駅のターミナルビル入り口に待ち合わせ場所を選んだことに後悔し始めていた。
週末の人の気持ち増加は認識していたし、今まで幾度となく見てきたこと。
しかしその中から一人を探し出すという作業がこれほどに手が掛かる事だったとは…。
少し辟易した面持ちで人ごみの中に妻を見つけると…。
「いたいた…。さすがに週末にここで待ち合わせはマズかったか…。」
ようやくの見つけた時点でどっと疲れが感じられるほどの心持ちを行き交う男達の視線が私の心に活力を漲らせ始めた…。
『あっ…あれは…。』
行き交う男達の視線が私の妻にチラッと向けられる。
いかにも清楚なオフィスレディーと言う出で立ちの妻。しかしながらその清楚さを覆すほどに突き出た胸の膨らみ…。
男達が涎を垂らさんばかりにチラ見していく様に、歩み寄る足を止め、しばしその光景を眺めてしまう…。
『アイツも…。こっちのヤツも…。』
チラッと視線を投げてはニヤッと笑みを浮かべている。いいものが見られた…目の保養になったと言わんばかりの男達の視線と表情。
約束の時間を少し過ぎてしまっていても、目の前の妻を女として眺める男の視線の誘惑から抜け出せない。
何度も足を踏み出そうとするものの、次の男の視線を確かめてから…そんな言い訳を繰り返し、ようやく歩みを進め妻の目の前に立つ。
「ごめん…待たせたかな…。」
何故か妻と視線を合わせることができなかった。
何か後ろめたい行為を隠し持っているかのような心境がそうさせたのか…。
誰もが目を奪われる妻を眩しすぎると感じたのか…。
「お腹…空いただろ…?何か食べに行こう…。」
ハプニングバーは食事の後…。そう思っていたものの、緊張し過ぎているのか食事が喉を通りそうもない。
喉と言えば先程から口の中までもカラカラに渇いているような感覚…。
「あっ…でも…ちょっと飲みたい感じだな…。バーって言うんだから…何かつまめるものくらいあるだろうし…。どうかな…?これから行ってみるって…。」
単刀直入に例のハプニングバーへ誘い、高木から聞いていた場所を目指して歩き始める。
『今日は見学だけだ…。見学だけ…。それだけでも十分刺激になる…。早まると二度と応じてはもらえなくなる…。』
妻と会話をしながらも、心の中では見学だけだ…見学だけ…と念じるように呟いていた…。
【良かったです…。とても魅力的な内容でしたので…。
好きと嫌い、服装や下着の種類、理解しました。
話の流れでこれは…とか、もっと…とかあれば仰って下さい。
こちらこそよろしくお願いします。】
※元投稿はこちら >>