妻の陽子を男達が好奇の目で見つめていたことは知っていた。
社内恋愛に発展する前から、その傾向にあることはわかっていた。
まだ付き合う前、トイレや喫煙所などで男達が陽子の噂話に盛り上がっている様を何度となく目撃してきたのだから…。
しかしそれも、陽子の寿退社と共に何事も無かったかのように沈黙。
それを当たり前だと思っていた。
今は俺の妻…他人にとやかく言われる筋合いはない。
もちろん陰で何を噂されているのかはわからない。
それは言いたいヤツが言いたいように言えば良いだけ。
自分の耳に飛び込んで来さえしなければ何も問題はない。
あれから5年…独占していた為になのだろうか…新鮮さが失われたからなのか…夫婦の営みは減り妻の陽子が隣に居ることが当たり前だと感じるようになっていた。
決して愛情が薄れた訳ではなかった…。
ただ…。何か物足りなさのような…言葉では言い表せない何かが欠落していたのか…。
『そうか…。この感覚…。』
居酒屋のトイレで他の男の目を楽しませていた事を知り、更に見えない部分への好き勝手な妄想まで語っていた男達の言葉に、忘れかけていた昂りが蘇ってきた。
『そうか…あの頃も…隠れてコッソリ付き合っていた事を知らない男どもが…好き放題言ってたっけ…。』
交際期間の優越感というものを思い出した。
あの頃はただの優越感だった。それに怒りを感じることもあった。もちろん喜びを覚える事もあった。
しかし今日のこの感覚はなんだ?
怒り…喜び…優越感…。
違う…。昂りだって…!?
自分自身でも理解できない心の中の動きに戸惑いを感じるものの、愛する妻を他の男の慰み者にされる屈辱のようなものが、理解しがたい感情を生み出し、その夜から毎夜…何度も…妻を求め、貪るように抱いてしまっていた…。
「陽子…俺…どうしちゃったんだろう…。こんなのって…変だよな…。」
そんな呟きが更に妻を不安に陥れたのか、背中に寄り添う妻の呟き…。
「えっ!?陽子…?」
私に何ができるのか…。その言葉に妻から発せられる愛情が全身を貫いていくかのような感覚…。
「いっ…いや…。これはです俺一人で何とかしないとダメなんだ…。
俺の感情の変化に…陽子を捲き込む事なんて…。」
その言葉に嘘はなかった。大切な妻を自分の欲望のために危険にさらす事はできない。
しかし…心のどこかで芽生えてしまった寝取られと言う感覚が、自分を犠牲にしても妻を守るという強い意志と、その真逆の弱々しい落胆を織りまぜることである程度の無理は聞き入れてもらえるんじゃないかという打算も存在したのかもしれない…。
【魅力的な内容なのでレスさせていただきました。
まだ見ていらっしゃるかわかりませんが…
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