「ええ、メイは向こうに着いた日にスナップビデオの撮影が行われることが決定したそうです。なんでも、誕生日の日にやりたいと…。そのため生殖能力の有無は問わないそうなので、買われてから一ヶ月間妊娠がなければ、次回の募集が行われる予定なので、その際は奮ってご参加ください」
吉田の怒りにも気が付かず、黒服はベラベラと喋る。
メイは来年の誕生日に中国に渡り、その日のうちに拷問を受け、殺される。
それはもはや確定事項であり、避けられない運命。
若い女性のスナッフビデオは高値で取引されており、メイは命を使って、最後に儲けを生み出す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ママ、迎えにきてくれると思う…?…っ、本当っ!?信じますっ、吉田さん、嘘つかないから…っ!」
吉田がついた優しい嘘。
誰もメイの運命を変えることができないなら、少しでも希望を持って生きて欲しい。
その嘘を信じ、くしゃくしゃの笑顔で喜ぶメイに心が痛む吉田だった。
「うーん、じゃあ、吉田さんとたくさんのことがしたいですっ!お外の写真とか見せてもらったりー…、ご飯一緒に食べて、お風呂に入ってー。あっ、セックスもしたいですっ!」
腕に抱きついて身体を密着させたまま、はつらつとした様子で答える。
写真を見たり、ご飯を食べたり。
ここまでは普通だったが、その後のセリフで時が止まる。
(あれ、なんか変だったかな…。)
メイにとってのセックスは日常茶飯事。
ご奉仕するための手段であり、仕事でする行為。
だが、メイはセックスのことは嫌いじゃなかった。
アナルセックスは怖くて嫌いだが、少なくとも通常のセックスに拒否感はなく、行為をしていれば然程酷いことをされる少なく、せいぜいスパンキングや首絞め程度。
メイにとってはなんでもないことだった。
視界の端に映るベッドには、洗濯しても消えないほどのシミがたくさんある。
そこにメイの日常が色濃く刻まれている。
「あっ、この間みたいにフェラチオして、ご奉仕しますかっ!?あの時は吉田さんを怒らせちゃいましたけど、今度は秘密兵器があるんです…っ。…ぁむ…っ。ひゃーんっ、ほおれふか?」
唐突にメイは口の中に手を入れ、入れ歯を取り出した。
突然のことに、吉田の目がまん丸になる。
歯が一本もない。
それでも本人はいつものような屈託のない笑顔を浮かべていた。
「えへへっ、びっくりしましたか?お客様に歯を全部抜かれちゃったんですけど、歯が無い方がフェラチオが気持ちいいらしいんですっ!元々得意だったのに、さらに上手になってしまいましたっ!」
嬉しそうに、まるで学校のテストを自慢する子どものように、胸を張ってドヤ顔を見せる。
そのまま、スッとさりげなく吉田に頭を向けた。
(今度こそ褒められちゃう…かもっ!頭なでなでしてもらっちゃったりして…っ。吉田さんといると、楽しくてテンションあがっちゃうな…っ)
※元投稿はこちら >>