「60分ですね…、はいっ、じゃあ…タイマーつけますね。」
部屋に設置された時計を弄り、60分後にアラームを設定する。
そして、ベビードールの肩紐に手をかけ、少しでも時間を無駄にしないよう、ぐいっと勢い良くずらすが…。
「えっ、あ…っ、着たままがいいですか?」
(うぅ…、汚すと折檻されちゃうんだよなあ…。ご飯抜き確定かも…)
服を脱がなくていいと言われ、ニコニコ笑っていた顔も少し引き攣る。着たままのリクエストをされることは稀にあるが、汚すと店から『お仕置き』されてしまう。…とはいえ、客に逆らうという選択肢は当然無い。
「…?は、はあ…。えっと、じゃあ、その気になったらいつでも言ってくださいね?」
『お喋りだけ』というワードに戸惑うが、肩に届くくらいに切り揃えられた髪を指でかき揚げ、促されるままに向かいに座った。
メイも長いことこの店で働いているが、このような状況になったことなく、少し無言の時が流れる。
無意識のうちに手首を摩り、床の木目を見たり、壁のシミを見たり…、少し落ち着かなかった。
手首には今もくっきり縄目が見えるほどの拘束痕ができており、一つ前の客との行為が伺い知れる。
「は、はいっ!えっと、年ですか?なんと…先月18歳になりましたっ。ソナでは最年長で、他の子達のお姉さん役をしてるんですっ」
元来明るい性格ではあるが、客と雑談なんかしたことがない。
何を話せばいいか思案していたところに、吉田からの質問に助け舟を見た。
「この間、いつも指名してくださる方がお祝いしてくれたんですっ」
クスクス悪戯げに笑いながら続ける。
「仰向けになって、身体の上に蝋燭18本立てて、『一本でも倒れたら、歳の数だけ指の骨を折る』って。それほとんど全部の指じゃないですかー。でも、そのおじさまは本当にやる方ですから、唇から血が出るくらい我慢しましたよー…、って、あ、あれ?面白くなかったですか…?スベっちゃった…。」
(あれ…?他のお客様は笑ってくれたのにな…)
薄暗い室内で目を凝らすと、乳房やお腹、太ももなどに円状の火傷痕が残っている。両手は問題なく動いているため、きっと耐え抜いたことが分かっただろう。
「ご主人様はおいくつなんですか?こういうところ初めてって仰ってましたが、上の世界にも風俗店ってあるんですよね?どうして最初がここなんですか?」
慣れない状況、酒の匂い、これらから少し警戒していたが、少しずつ慣れてきて口数も増えていく。
目尻が吊り上がった、大きく吸い込まれそうな猫目で見つめ、吉田を覗き込む。
【明るいバージョンで繋げてみました。どちらが良いでしょうか?】
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