「よく来たね…、道に迷ったりしなかったかい…?
暑かっただろう、さ、どうぞ。
何か冷たいものでも入れてあげよう。」
不意に繋がりが蘇った関係。
そして、家に来たいと言い出した陽。
いくらLINEのやり取りを繰り返しても、それこそ通話をしても、本当にやって来るかは別問題。
半信半疑。
ただからかわれただけの可能性はいつまでも拭えなかった。
記憶の中の陽はそんな子では無い。
しかし、年頃の少女が見知った関係とは言え、一人で父親と同じような歳の男の元へやってくるとは簡単には思えなかったのだ。
そんな懸念を他所に週末。
ジリジリと暑い太陽が照りつける土曜日。
そう近いとは言えない男の家まで、陽はやってきた。
ようやく感じる安堵。
そして同時に押し寄せる興奮。
会いたがった少女の気持ちは嘘ではなかったことを確信できた。
「さぁ、どうぞ。」
陽をリビングに通し、ソファへ掛けるように促す。
別居中の身軽で気楽な身。
ミニマリストという訳では無いが、必要以上に家具や雑貨などもなく、テーブルにソファ、テレビ程度のさっぱりとしたリビング。
疲れてそのまま眠ってしまうことも多いそのソファは大きく、陽が横たわっても足がはみ出すこともないほどのサイズだった。
テーブルに麦茶を注いだグラスを置くと、カラン、と音を立てて氷が崩れる。
よほど暑い中をやってきたのだろう。
空調の利いた室内に入っても暫くは額に汗を滲ませるほどの暑さ。
その汗で張り付いたシャツ。
制服姿がより年齢を生々しく感じさせつつも、発育目覚しいそのシルエットに思わず生唾を飲み込む。
「なんて言って出てきたんだい…?気にしてなかったかい…?」
遠回しの探り。
後々、陽の父に勘ぐられるのは避けたいのは当然。
陽の隣に腰を下ろし、一緒に注いだ麦茶に先に口をつける。
歯磨き…、一見幼稚な行為。
本当にそんなものを望んで、少女とは言えもう高校生、こんな暑い中をやってきたのだろうか。
本当にそうなら…、内に感じる欲求を最後まで押し殺すことは出来るのだろうか。
不安と興奮、相反する感覚を覚えながら、男は陽の返事を待つ。
【お久しぶりです。
もう返事もないかと思っていたので嬉しいです。
撮影に関しては承知しました。
じっくり進めて行こうと思います。
優越感、を感じる為にどの程度のご都合主義で進めるかも考えないと行けませんね。
こちらの経験に関してはかしこまりました。
そこは問題ないと思います。】
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