『い、いやwおじさんが悪いんじゃなくってwその…
単純にそんなつもりじゃなかったっていうか…あ、あれ…もしかして私が勘違いしてる?…うわw』
どうやら【相手】と言われ陽は思わず飛躍してしまった様だ。
貴方もそこまでのつもりではなかった筈。あくまで挑発的に火種を放ってみただけ。しかし陽は予想外に反応した。
運良く陽の今現在における貴方への感覚をある程度知れた結果となった。
逆に言えば…相手は貴方でも良いという答えにもなるのだ。そう、父の友人で遥かに年の離れた、馴染みの中年男性でも…
『ふ~ん…夫婦も色々あるんだね。男女ってやっぱ難しい…
ん~ん?引いてないよ?なんとなくわかるっていうか…こっちこそごめんね?言いにくい事聞いちゃって。
ちょっと気になったんだ。夫婦っていう男女の事』』
陽から軽蔑の感情はない。
余程男女の性に関心のある時期なのだろう。
『おっけー!じゃあ…今週の土曜はどうかな?お父さんも休みだよ?おじさんもだよね?
午前中学校だから終わったらそのまま行くね?
うん!じゃあ私はいっぱいおっきな口開けるね?
隅々まで見てね?
お父さんへの内緒、ありがとw』
やや急な誘い。今週末を指定した。
学校帰り。恐らくそのまま制服姿だろう。そしてこの季節。汗だくになる可能性もあるが…
歯磨きの了承を貰えるとまるで小学生の様に応える言葉が紡がれていく。
しっかりした子でありながらもどこか幼い部分がある陽。
顔、体の急激な成長とはギャップのある内面をしていた。
。。。
陽とのやり取りをしている内に気づけば昼が過ぎる。
食堂へ向かう為、エレベーターへ乗り込み一息つく貴方だった…
チーン…
ズッ…
「おお、赤坂じゃないか…久しぶりだな。元気だったか?
会社でも全然合わなかったな。前やってた食事会も疎遠になったし全く会ってなかったな。」
途中でエレベーターが止まり、スーツ姿の男性が一人入ってくる。
陽の父、直紀だった。
貴方の顔を見るなり喜びと驚きが混ざった表情で話しかけている。
「陽、高校生になったんだよ。志望校に合格できたんだ。
あの子が受験シーズンだったのもあるな。赤坂もだいぶ会ってないよな?もし機会があれば会ってやってくれよ。
あいつ、赤坂の事たまに話してたから。今でも懐いてるんだと思うよ。」
まだ直紀は二人が再開した事を知らないらしい。今朝の出来事。当然かもしれないが、貴方の自宅で落ち合う事にまでなった今、歯磨きの事は隠しながらも訪問に関しては伝えていたかもしれない。
直紀の様子からすると陽が一切伝えてない事が伺える。訪問自体を秘密にするつもりなのかもしれない。
チーン…
「…まあ…あの年頃で…あれだけ成長っていうか…発育っていうか…変わると父としては心配だよ(笑)」
エレベーターが開き、食堂まで続く長い廊下を二人で歩き出す。
直紀は徐にやや低いトーンで話し出した。
「正直…気になっちゃうよね。彼氏の有無とか…キス、とか………セックス経験とか…
綺麗で…いてほしいからね…フッ(笑)ちょっと赤坂に話しすぎかな?お前も娘ができたらこうなるぞ?(笑)
じゃっ、俺自分とこの社員と食べなきゃだから…ここで…またな…」
綺麗…
どこか意味深にも感じる事を最後に話した後、直紀はにこやかに去っていった…
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