メルヒスに続き、酒場に飛び込むヨハンセン。
一瞬メルヒスが、修道女のあられもない姿に気を奪われているのに気が付く。
(こいつは…メルヒスも一皮むけば男(野獣)ってわけだ、勇者色を好むか。こりゃ面白い(笑)古典的だがこの女操って、勇者を色仕掛けに…)
我に返ったメルヒス、荒くれに対峙しながらヨハンセンに、
「ヨハンセン殿、とりあえずこのマントあの女性にかけてあげてはくれまいか。その後馬車に案内してあげてください。王女様には簡単に出来事を説明してください。」
剣を構えながら、片手でマントのボタンを外すと、ヨハンセンにマントを渡すメルヒス。
「このメルヒスの剣、受けたいのなら早く来てはどうだね?」
残っていた荒くれの残党にそう声をかけるメルヒス。
ヨハンセンが修道女の肩に、メルヒスのマントをかけると、
「あ…ありがとうございます。。」
そう言ってマントの端をギュッと掴み、自分の身体に巻き付ける修道女、それを見たヨハンセンは
「修道女様、外に馬車がございます。そちらで衣服を直していただいて…」
「それでは参りましょう、修道女様」
ヨハンセンがルチアにそう声をかけ、ルチアを立ち上がらせると、成り行きを固唾をのんで見守っていた(全裸に近い格好の修道女を凝視していた)一般客も、バツが悪そうに修道女から目を離す。
「あら貴方は誰?」
馬車に乗って来たルチアを見て、フアナに変化したリリスは声をかける。
「女王様こちらは…」
手短に酒場であったことを、説明するヨハンセン。
「私はもう一度酒場に戻って、メルヒス様のご様子を…(こいつが用意したというサキュバスか…)」
「そう大変でしたわね、横にお座りになって深呼吸なさってとりあえず落ち着いてくださいな。。吸って…はい、吐いてぇ…はい吸ってぇ…吐いてぇ」
リリスを王女と信じ込んでいるルチアは、言われた通りに深呼吸を繰り返す。
そのリズムにより自身への催眠術が、かけられようとしていることにも気が付かず。
(やだ私ったら何を…でもさっきのリルベルという女性には、逆らってはいけないって、私の本能が警告を出してるし…)
そんなことを思っているリリスの頭に、訴えかける新しい声。
〘そうそれでいいんだよ、リリスとやら。お前の取り敢えずの任務は、その女の深層心理を自在に操れるようにすること、いいね。お前の声と、リルベルの声、そしてこの声でだ。〙
「メルヒス様、どうもありがとうございました。さっきの奴らはここら辺を荒らしまくってる奴らでして…(くそっ、折角いいところだったのに)」
殊勝を装う老爺が、メルヒスに声をかけた時、ヨハンセンが店内に戻って来る。
「メルヒス殿、大丈夫ですか?お怪我などはなされていませんか?」
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