「ヨハンセンに妹弟が居たのね、知らなかったわ。
ジギタリス様、サマエル様、お初にお目にかかります、リルベルと申しますら以後お見しりおきを……。」
軽い会釈をする、頭のいい子だったらカーテシーをしないこの挨拶の意味を理解するだろう。
「兄上、リルベル様は将来僕達のお義姉様となる方と理解してよろしいのでしょうか?」
「えっ〜、この人間を?」
「ジギタリス、止めなさい!」
「サマエル様、宜しいのですよ、人間だった時は正聖女でした。」
「下等な人間しかも神に仕えるなど愚かです事…。」
「えぇ、愚かでした…、しかし私は今は魔族です。」
「はぁ?人間が魔族?あり得ないでしょう!」
「体力が回復なさった暁にはお見せ致しますわ。」
「リルベル様、タリスが申し訳ありません。
兄上!!タリスをお許しください!!
あの様に怒れる兄上を僕は初め見ました、怒りの魔力が……、怖ろしい……。」
「ヨハンセンもサマエル様、ジギタリス様、いいのです、信じられなくとも受け入れられなくとも当たり前です。」
ヨハンセンの怒りを和らげるかの様にヨハンセンがいつの間にか握り締めていた手を包み見上げ微笑む。
「リルベル様、僕の事はエルとお呼び下さい。」
「ありがとうございます、エル様。」
「おい、エル!この人、何企んでるか判らないわよ!」
「ヨハンセンの大切な家族ですからまずは体力魔力を回復してもらわないとなりませんね。
エル様、お父様とお母様は今は?」
「あぁ、父上は魔力封印の地下牢に……、母上は……、魔王妃寝室にて深い眠りについております。」
「お父様は地下牢に……、ヨハンセン、お父様の魔力は感じられるかしら?
お母様の魔力はあまり強くないのかしら?」
「リルベル様!そうなんです、母上は地位の低い魔族…、いいえ、魔族と人間の間に産まれた半魔族なのです。」
「嘘よ!母上が半魔族だと!私は信じないわよ!半魔族が魔王妃になれるわけないじゃない!
しかも私の魔力は兄上には劣るけどエルとそう変わらないわよ!」
「サマエル様、魔族をお母様を誇りに思うのは良い事ですが真実から目を逸らしてはなりません。」
「な、何を!下等な人間如きに何が解ると言うのです!」
「下等な人間、えぇ、私は物心付いた時には修道院の下女でした、父母の顔は知りません。
修道院長様、曰く早朝若しくは夜も明けていない深夜に籠に入れられ泣きもせずこれを握っていたそうです。
これが何かは誰も判りませんでしたが、洗礼を受けた時、聖女と判明し聖女の鍛錬をしていく内に正聖女と判明しました。
正聖女が孤児だと王国としては何かと問題があった様でとある大公の養女となりそこでは普通の貴族の暮らしの教育を受けました。
この話は何れまた……、その前にお二人には体力と魔力を回復してもらわなければなりません。
ご不満でしょうが……、こちらの冷製スープをお飲み下さい、お姿が猫なので温かいスープはご無理でしょうから…。」
「リルベル様、ありがとうございます。」
「……回復しなければ何も出来ないものね、仕方ないけど飲むわ。……!!(美味しい、何この魔力がお腹から溢れてくる感じは…、
さっきあのリルベルとか言う女が用意したのよね。)」
「ジギタリス様、お気に召して頂けたようで良かったです。」
「闇黒魔力と聖魔力の両方を感じますがリルベル様、両方使えるんですね。」
「えぇ、人間だった頃に比べると聖魔法の方は劣りますが魔族になってからは攻撃魔法も使える様になりました。」
「先程の石見せて頂けないでしょうか?」
「そうですね、ヨハンセンにも見せた事なかったのでまずはヨハンセンからで宜しければその後どうぞ。」
ヨハンセンにその〝石〟を渡すと……。
それは石ではなく◯の涙の結晶だった。
「ヨハンセン?魔の子村から何も食べていないのよ、私達も夜食を頂きましょうよ、石を見つめてどうしたの?」
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