勇者(メルヒス)は、王女フアナとヨハンセンにお茶を差し出しながら、
「可笑しな夢ですか?……それはどのような?」
「そ…それは。。じ…じつは…そ、その…」
自分から話を聞いてほしいと、言っておきながら頬を真っ赤に染めたままなかなか言い出せないフアナ。
メルヒスは王女の隣に控えるヨハンセンを見てからフアナに視線を戻し
「王女様の見た夢というのは、私共には言い難いものらしい…王女様・ヨハンセン殿こうしてはどうであろうか?
ヨハンセン殿もご存じの通り、私は国王様に命じられて、これから〇〇山にあるという、青いユリと青い石を取りに行く旅に出かけるのです。
詳しいことは町はずれにある修道院の修道女が知っていると、国王様は仰っておりました。
ついては一部厚かましいお願いにはなりますが、私も馬車にお乗せいただき、一緒に修道院に向かうのはいかがでしょうか?
王女様も同じ女性が同席しているのであれば、話しやすいかも知れないですし。
いかがですか?王女様。」
「メルヒス様そうしていただければ。」とフアナ。
「ヨハンセン殿はいかがですか?」
「私はフアナ様の仰せの通りに。」とヨハンセン。
「それでは参りましょう、フアナ様ヨハンセン殿」
そう言い立ち上がり、家を出るメルヒス。
それに続くフアナとヨハンセン。
〘これからメルヒスが修道院に向かうため、馬車でその前を通る、準備はいいか?〙
メルヒスの家を出ると、誰かにテレパシーを送るヨハンセン。
〘……〙
誰かからのテレパシーを受信すると、一瞬にやりと薄笑いを浮かべた後真顔に戻り、最後に馬車の乗り込みながら、御者に、
「町はずれにある修道院まで」
と命じるヨハンセン。
馬車はゆっくりと進み、裏道に入り、尚もゆっくりと歩みを進めている。
馬車が酒場と思しき店の前を過ぎようとしたとき
「お許しくださいませ……、お止めください!嫌です!イヤァァァア……。」
と甲高い女の悲鳴が聞こえてくる。
「少し失礼いたします。」
言うが早いか、メルヒスが馬車を飛び降り、悲鳴が聞こえてきた酒場のドアを勢いよく開ける。
「何をしている!」
メルヒスの目には、ブラをつけ片側が着られたパンティを必死に押さえる蹲る女性。
その足元には修道服が丸まっている。
「誰だてめえは……」
折角の楽しみを奪われ怒ったのか、荒くれ共が声を上げ、メルヒスを睨みつける。
騒ぎを聞きつけた老爺が、怯えた表情を装い姿を現す。
「こ…これは、勇者メルヒス様ではないですか?どうしてメルヒス様がこんな汚い酒場に。」
「メ、メルヒスだと……先の戦いで、数々の武勲を上げたという、メルヒスか…」
剣を構えたメルヒスは、いかにもという感じで小さく頷き、ほらこないのかという意味を込めて、指を少し動かす。
「くっ…くそ…この野郎覚えてやがれ。」
捨て台詞を吐き三々五々散っていく荒くれ共。
その間に脱がされた修道服を拾い上げ、自身の身体の前で抱しめている修道女ルチア。
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