「ヨハンセン、貴女も悪い人ね、聞こえてるのに橋目で見るだけで無視だなんて可哀想な王女さま…。」
可哀想な王女さま、その言葉だけフアナには聞こえた。
「(何よ!私が憐れだと言うの?!あの女、動ける様になったら絶対許さないんだから!!何、何よこれ!お腹がいきなり膨れてきたけどあの女が言っていた私、誰かの巣になっていると言うの?
お腹の中の何かが動いてるわ、嫌だ、気持ち悪い、嫌よ、嫌ーーー。)」
テレポートで移動した先は魔の子の山の魔族以外にはただのあばら家に見える家の中。
「暖かいわね、私もまだまだね、ヨハンセン、ありがとう、部屋を暖めてくれたの、貴方よね?
食事にワイン、いいえ、果実酒ね、この香りは魔国のザクロかしら?人間たちは人間の血の味がすると言われて食べないけどこんなに美味しい果物はないのにね。
私達、魔族は下種の人間なんて食べるわけないのにね、食べてるのは魔族の中でも言葉が話せない家畜と下級魔族だけよね。
その下級魔族だって食べ物があれば人間なんて食べやしないわ。
食事の後は朝まで一緒にいてくれるのかしら?」
そう言いながら闇黒魔法でベッドメイキングをする。
−−−パーティー、一行−−−
「ベル様が心配なので早く戻った方がいいとは思っているんです、しかし勇者様の傍に居たくないんです…。
実は私…、勇者様に純潔を汚されてしまいました、修道女と言うのに…、こんな穢れた私は修道女のままでも…、ハイル様のお近くに居ても宜しいのでしょうか?」
「勇者、メルヒルがその様な下劣な真似を何と嘆かわしい。ルチア殿が望まれその様な関係になられたのではないのなら貴女は穢れてなんて下りません。
私ならば…、その様な告白をして下さったルチア殿を尊敬、労わりたいと思います。」
「ハイル様……、誰にも言えずにおりました、胸の痞えが下りました、ありがとうございます。ベル様が心配です、戻りましょう。」
ルチアに紳士然とした微笑みを見せるハイル。
勇者とオートマタ、ベルの近くに行くとベルの声が聞こえる。
「勇者様、お戯れはおやめ下さい。」
声だけは嫌がっているが抵抗はしていないオートマタ、ベル、それをいい事に乳房を揉みまくるメルヒル。
「ベルのおっぱいは服の上からでも柔らかだ、直接揉ませてもらいたいものだ、感じて下も濡れているだろう。」
「勇者様、いけません、お二人がお戻りになります。」
「メルヒル様、宿が取れました、宿併設の温泉場で疲れを癒やして下さいとのことです。主人から預かってきたタオルです。」
「ベル様、大丈夫でしたか?」
「えぇ、大丈夫よ。」
「ルチア、これは間が悪かったな、そんなに心配しなくとも君も可愛がってあげるから…。」
「ハイル様、ベル様、疲れを癒しに参りましょう。」
「おい!ルチア!聞いているのか?!」
「メルヒル様、ここは一旦、湯で疲れを取って食事をしましょう。」
「そうだな、ハイルの言う事も分かった。」
温泉に到着すると男女に別れた暖簾があり案内人に宿屋の鍵を見せると入れてくれる。
「ようやく湯にありつけますね。」
「えぇ、ルチア様も暫く体を清められなくて気分が悪かったでしょう。」
「はい、旅に出たことがなかったのでここまで過酷と思っていませんでした、ベル様もハイル様もご尊敬致します。」
「勇者様もですよ?彼はもっと過酷な旅に出ていました。」
「それは知っております、騎士様、魔法使い様、正聖女様と共に狂暴なドラゴンを倒したと聞いています。
が、正聖女様は処刑されてしまいました、本当に正聖女様は……、すみません、聞かなかった事にして下さい。」
「ルチア様、もしかして正聖女様が無実の罪でと思っておられます?実は私もなんです、王都では言えませんが……。
(あとでルチアとリルベル様の無実を信じている事を報告しましょう。)」
「……ここにも正聖女様を信じて下さる方がいらっしゃった…、ありがとうございます、ベル様。話し込んでしまいましたね、温泉に入りましょう。」
「えぇ、入って食事を……、えっ?なぜ勇者様とハイル様が?脱衣所だけ別で中は一緒の作りなのですね。」
「ベル殿、その様です……、あまりそちらを見ない様にしますゆえお許しを、ルチア殿、旅ではこの様な作りの温泉場があるのです。」
腰にタオルを巻いたメルヒルがルチアとベルに近寄り。
「体を洗ってやろう、旅は道連れ世は情とも申すではないか。」
ニヤニヤしながらベルの肩に手を置き洗い場の椅子に座らせるメルヒル。
「ハイル様、お止めになって下さい。」
〘ハイル、ルチアに洗い合うのが旅の常識だと教えてハイルがルチアを洗ってあげなさい、ただしまだ絶頂させては駄目よ。〙
−−−復活後、料理が並べられた日の昼過ぎ−−−
マジックを出し切りリルベルは泥の様に眠り目を覚ましたのは太陽は頭の上。
起き上がるとメモと食事と強魔石がテーブルに置かれている。メモを手にし目を通すと。
「……ヨハンセン、気まぐれで貴方は私を魔族として復活させてくれたけれど私は私がするべき事、人間に復讐をするのみよ。
闇魔法…、時を止めるなんてそんな事も出来るのね、誰でも出来るのかしら?元人間の私は魔族に受け入れてもらえるのかしら?
これ、キッシュよね、私食べてみたかったのよ、パイとベーコンの歯ざわりを味わってみたかった…。
こちらはお肉、牛肉かしら?スープも温かい…、またデザートまであるわ。全部私が食べても誰にも咎められない……。
温め直しの魔法まで…、これは力加減が難しそうだからこんなにも美味しそうなお料理で試したくないわ。頂きます、ヨハンセン。」
強魔石のお陰でマジック切れを起こさなくなったリルベルはテレポートも完全に習得し、上級闇魔法の炎、水、風、土、雷などの魔法も習得した。その頃には強魔石なしでもマジック切れを起こさなくなっていた。
「ヨハンセンに何かお礼を…、私に出来る事は習得している魔法を使って作り出す物よね。」
山頂にテレポートすると聖魔法で生命の息吹を闇魔法で時を進め人間界にない人間には毒にもなる青百合を咲かせた。
その副産物として青石もいくつか出来上がっていたのはリルベルも気づいていなかった。
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