〘愛しの相方さんからプレゼントだなんて今から待ち遠しいわ、魔国産の貴方の瞳と同じ色の最高級の誰もが羨む素敵なネックレスにイヤリングをドレスも魔国産の繭から紡いで布にした物をお願い。
下らない話なのだけどエスコート者、プレゼントされた宝石で貴族たちが上下関係の目安にするのよ。
魔国の皇太子の貴方と現れた私に注視してくるわ、そして姉上とやらも近づいてくると思うの、貴方の美しさに吸い寄せれて…、眩い光に害虫が集まるかのようにね。
愛しの相方さんのお陰でここまで美しく“作り直し”てもらったんだもの淑女の鑑と言われる彼女も興味津々、無礼がないか虎視眈々と狙ってくるわ。
人間なんて貴族なんてそんなもの、養父母様たち以外は…。
……本物の王女に会うためだけに来るの?私に逢いたいからではなく?残念だわ、戦闘前の一時、久し振りに楽しい夜を過ごすかと思っていたのに……。〙
−−−記憶の遡り−−−
「私の過去など覗いた所で面白味もなかったでしょうに……、悪く思っていません。
えっ?テレポート!……人間だった時、魔石を使ってもマジック切れを起こしたのよね…、確かあの時も勇者は寝かせてればいいと言って起き上がらせてもくれなかったのに
何故、私は勇者を盲信していたのかしら……、今の私にだったら魔石を使わなくてもテレポート使えるかしら……?
ヨハンセンは上級魔術持ち主、テレポートは簡単にしていたわ、それもそうよね、私の肉体を再生させ容姿まで変えられる魔力の持ち主だもの不思議ではないわよね。
人間ではなくなった言うのに聖女ではないのに聖魔法は大きいのね…、何だか嫌な感覚だわ、でもこの嫌な魔法も使いようによっては復讐に使えるわよね…。
“清らかな風”」
手を組み天を仰ぐとあばら家だった木の家は尊き者が休む家へと変わり室内も整然清潔感あるれる変わる。が人間には今までのあばら家、荒れた室内と見える。
「傷も癒えている様ね、ヨハンセンと名乗った者が言った通りだけれどそれにしても早くないかしら?
……右手が利き手が闇魔法、少ないわ、体が動く様になったら精度を上げる事にしましょう。
今は憎い聖魔法だけど体を治す為に使いましょう……、“命の源”。」
清潔感あるテーブルにスープとパンが…。
「……この魔法、命を繋ぐものだけれど心は満たされないのよね。思い出すわ…、館長と王女がバター香るクッキーを食べていたのよね。
思わず生唾を飲んだら軽蔑な目で見られてしまったけれど人として当たり前の感覚を否定されて……。」
そんな事を考えていると右手から魔力が溢れ人間だった時には食べられなかったパウンドケーキと甘いショコラショーがワゴンに…。
「私、ワゴンまで直したのかしら?……この一部始終をヨハンセンが見てると言う事ね、……ありがとう、ヨハンセン。」
パンとスープを食す事なくパウンドケーキとショコラショーを口にするリルベル。
「あまい……。」
瞳から涙が一筋。
嬉しいのか、悲しいのか、怒りなのか、憐れまれたと思ったのか感情が溢れ人間達に復讐したいと改めて思い、食した後、スープとパンを残したまま眠りにつく。
翌朝、残していたスープとパンを食べた後、立ち上がり包帯を解くと鏡に姿を映す。
「別人ね…、初めましてリルベル、さようならベル。」
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