〘ドレスと宝石のプレゼント?構わんよ、麗しの君に似合うようなやつを見繕ってあげよう。
そういえば今度、王宮で貴族達を招いてのパーティがある。
前国王の命で、私もパーティに出席せねばならぬゆえ、そこを麗しの君のデビューの場にしよう。
麗しの君の美貌、国中の噂になるぞ。
そこで、騎士の姉上他貴族と親交を持ってくれ。
これより私は王宮にフアナ王女を届けた後、本物のフアナ王女の様子を伺いにそちらに行くから。〙
ーーーーーーーーーー〇〇山へ向かうパーティ一行---------
山道へ差し掛かる手前のところで馬車が止まり、御者が馬車内に声をかける。
「勇者殿、これより先は馬車では無理な様子。申し訳ございませんがここからは歩いてください。」
片腕をベルの腰に廻し身体を支えるふりをしながら、ベルの身体の感触を楽しんでいた勇者メルヒルは、
「そうか。分かった。ここまで送って貰って悪かったな。皆、ここからは歩きだそうだ。参ろうか。」
そう言って一足先に馬車から下りるメルヒル。
ハイルは隣のルチアに、
「ルチア殿、ここからは歩きだそうですが大丈夫ですか?荷物は私が持ちましょう。」
そう言うと、ルチアが遠慮するにも関わらず、ルチアと自分の荷物を一緒に抱えて馬車を降り、ルチアが馬車を降りるのを手助けするハイル。
「あ、ありがとうございます、ハイル様。」
遠慮気に差し出されていたハイルの手をギュッと握り、馬車を降りるルチア。
「(ハイル様、なんて紳士なのかしら。野獣のような勇者とは大違いだわ。どうせなら初めての殿方は、ハイル様のような。あらいやだ私ったら、聖職者にあるまじきことを。)」
そんなことを思いながら頬を染めるルチアと、その様子を見逃さないメルヒル。
「(ルチア、私という者がありながら、他の男に。ハイルとかには、早めに分からせておいた方がよさそうだ。とはいっても肝心のこいつは、縮こまったままだし。さてどうしたものか?)」
〘ヨハンセン様、リルベル様。匂い袋を使うまでもなく、メルヒルは肉欲に取りつかれているようです。私がお願いしますと言ったら、その時だけメルヒルの肉棒を元に戻してください。〙
そう二人にテレパシーを送った後、自分の剣のつば先にオートマタから預かった匂い袋を下げるハイル。
「(これで良しと。これで私の横を歩いているルチアには匂い袋の効能が、そのルチアを見てメルヒルが(笑))そうだ、、」
〘オートマタ、聞こえているか?今度休憩の時にメルヒルに科を作ってくれ。誘われたら拒まずにな。〙
〘ハイル、分かったわ。サキュバスの私の腕見せてあげる(笑)勇者の精搾り取ってしまって構わないわよね。〙
〘ああ、もちろん。できれば、ルチアに見せつけるようにして搾り取ってやってくれ。〙
ーーーーーーーーーー王宮へ戻る馬車そして王宮---------
〘ヨハンセン様。私は王宮でどのように過ごせば宜しいでしょうか?〙
〘リリス。王宮での過ごし方は、本物のフアナ王女と変わらないようにすればそれでよい。本物のフアナ王女の記憶、立ち居振る舞いの仕方は、身体と一緒にコピーしただろ。何か特段の指示があればその都度にな。〙
〘了解いたしました、ヨハンセン様。〙
「さあ、着いたようだ。リリスくれぐれも気が付かれないようにな、馬車から下りればそなたは王国の王女だからな。」
御者が王宮前で馬車を止めると、馬車の横に踏み台を用意する。
「ヨハンセン、参りましょうか。すっかり遅くなってしまいましたわ。」
「はい、フアナ王女様。大公閣下にもご挨拶をしませんと。」
「そうですね、パパ心配してるかしら?」
ーーーーーーーーーー時はリルベル復活時に遡る---------
右手からは闇魔法、左手からは聖魔法が使える女を見て
「これは驚いた。闇魔法と聖魔法両方が使えるようになるとは。それはそうと悪いとは思ったが、お主の記憶覗かせて貰った。お主人間だったときは、ベルと名乗っておったようだな。取って食おうとは思っておらんので、安心してくれ。」
ヨハンセンはそういうものの、その言葉を信じられないベルは猜疑の目をヨハンセンに向けている。
「そうは言われても、そうそう信じられないのは、仕方ない。魔族は傷の治りも早い故、もう少し経てば歩けるようになるだろう。歩けるようになったら、隣の森で魔法の精度上げるように練習したらよい。後々何かの役に立つかもしれんからな。定期的に顔を出すから、何か必要なものがあったらその時に言ってくれ。あまり遅くなると国王が不審がるから、私は王宮に戻る。ではまたな。」
目の前にいたヨハンセンがそう言ったかと思うと、その姿は一瞬のうちにかき消えていた。
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