〘ハイルなら上手くやるさ。あいつは相手を完全に信用させてから堕とすのが得意だからな(笑)〙
リルベルへの意識はそのままに、ハイルへ意識を飛ばすヨハンセン。
〘ハイル、聞こえるか?〙
〘これは、ヨハンセン様。ご連絡首を長くしてお待ちしておりました。〙
ハイルにこれからの指令を伝えるヨハンセン。
〘畏まりました。人間界の街から、勇者メルヒルとやらの供をして、〇〇山まで行けば宜しいのですね。これから勇者と魔法使いに変身したオートマタが修道院に行くから、そこで修道女のルチアとやらと待っていて、合流しろと。〙
〘ああ、その道中ルチアとオートマタとよろしくやってくれ(笑)やりかたはお前に任すが、ルチアにはまず心をお前に対して開かせて、何事もお前に依存させるようにしろ。メルヒルがルチアにぞっこんだから、襲おうとしてるところを助けてやるのでもいい。なにパーティ内でメルヒルとの仲が多少ぎくしゃくしても構わん。最終的な手柄は全てメルヒルに渡るようにすることだけは、忘れないようにな。〙
〘畏まりました。楽しい旅になりそうです。それと意識の開放はどのようにすれば?〙
〘それについては、私とリルベルに対して、視線と共に常時開放しておいてくれ。都度指令も出すからな。〙
〘ではこれより修道院に向かい、ルチアという修道女と初対面を済ませて、二人を待っていることにします。〙
〘ああ宜しく頼む。リルベルからは何かあるかな?〙
ーーーーーーーーーー少し後の修道院---------
カンカン…カンカン…修道院表の重々しいドアに付けられているノッカーが数度叩かれる。
顔を出した修道女に、
「申し訳ありません、私ハイルという剣士をやっているものですが、ルチア様という修道女様はこちらにいらっしゃいますか?」
「ルチアですか…確かにいますが、どういったご用件ですか?」
「そうですか、良かった。」
白い歯を見せて微笑み、差しさわりのない用件を話すハイル。
「そうですか、国王様の命で…それはご苦労様です。ただいまルチアを呼んでまいりますので、こちらでお待ちを。」
そう通された部屋には、一人の男が座っていた。
修道女から話を聞いていたのか男が立ち上がり、
「これはこれは、私ここの館長をしております○〇です。剣士ハイル様、お役目ご苦労様です。ルチアはただいま参りますので、少々お待ちを。」
館長と話をしているとノックの音と共に、
「館長様、お呼びでしょうかルチアです。」
との声が聞こえてくる。
「ああルチア、旅路の用意の途中悪いね、入ってくれ。」
ドアが開き美貌の修道女が入ってきて、ハイルに視線が止まる。
「(だ…誰?まさか旅路のメンバー?あの勇者以外にも、男がメンバーにいるの?)」
「ルチア、こちらは剣士のハイル様。此度の勇者様との旅路に同道なさるそうだ。」
「ハイルです、邪魔にならないよう頑張ります。宜しくお願いします。」
白い歯を見せ微笑み、軽く会釈するハイル。
「ルチアと申します。こちらこそ足手まといにならないようにしたいです。宜しくお願いします。(あら、軽々しく握手求めてこないのね……男って酒場の男の人達や、勇者みたいな男ばかりじゃないって、ことかしら?)」
少し逡巡しながらも、自ら握手を求め軽く手を差し出すルチア。
「あ、これは失礼しました。女性から…」
差し出された手を一瞬握り、直ぐに離すハイル。その手を通してハイルの体温がルチアに伝わる。
「(この方は勇者とは違うのかも……いえ、まだわからないわ、気をつけないと…)」
〘掴みはまあまあのようだな、ハイル。ルチアの緊張が大分解けてきているようだ。その調子で頼むぞ。〙
〘はっ。ヨハンセン様ご希望に添えるように、勇者メルヒルを闇落ちさせて御覧に入れます。闇落ちさせた暁には、勇者メルヒルの尻穴を奪っても?〙
〘そうかハイル、お前は両刀使いだったな(笑)その時には好きにするがいいさ。〙
ーーーーーーーーーー酒場---------
〘おいおい麗しの君、国庫から三分の一とは。。前国王でも認めないぞ。今の国王はしみったれのどケチ。勇者メルヒルといえど、こんなことが知れたら間違いなく処罰されるだろうな、麗しの君の目的はそれなんだろうが…(笑)〙
リルベル・ベルとメルヒルの話が終わり、ヨハンセンが
「メルヒル様、ご用意が整いましたら修道院まで、馬車でお送りいたします。その後王女様と私は王宮に戻ります。後、剣士を一人修道院で待たせておりますので、ご一緒させてください。以前の剣士様には少し及ばないかも知れませぬが、腕の方は確かでございます。」
「うむ、ヨハンセン殿済まぬ。ではベル殿(くそっ、言い難いものだ…)参ろうか。リルベル殿、お手数をお掛けしたな。」
酒場を出て馬車に乗り込む勇者メルヒル・王女ルチア(リリス)・魔法使いベル(オートマタ)そしてヨハンセン。
ルチアとヨハンセンが奥の席に向かい合い、その横にそれぞれベルとメルヒルが座る。
ルチアが横に座ったベルの手を取り
「いい、ベルとやら。メルヒル様は私の許婚ですからね、色目なんか使わないでね。〘オートマタ、今までの私とメルヒルの記憶を共有しておくわ。その美貌ならメルヒルは間違いなく貴女を襲うはずですわ。リルベル様・ヨハンセン様、記憶の共有完了しました。これでよろしいでしょうか?〙」
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