「そう…あなたよ?今回は残念でしたね…このオーディションは特に難関でしたから。
わたし別室でみてて、今度作ろうと思うユニットにあなたを推薦したいんです。いかがですか?」
ニコニコした物腰おっとりした女性P。とても安心できそうな同性からの申し出に嫌という子はいません。智香さんの腰に手を添えて後ろから別室に招き入れる凛華の口元はいやらしく笑っていました。
「こんにちは。わたしは松田凛華。こんな子供みたいな姿だけど、一応プロデューサーしてます。
あらためて…自己紹介、お願いできるかしら?」
(何にも知らない…夢と希望に満ちた瞳…たまらないわ…この子は…どんなふうに…砕けてくれるかしら?)
後ろ手で聞こえないように部屋の鍵をかけます。前面総鏡貼のレッスン室。椅子も何もない部屋で、わたしは智香ちゃんの前を通り過ぎると、鏡を背にしてちょこんと座り柔かに話します。
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