ワタワタと焦っている間に、鈴木さんさんが楽しそうに梨乃の唇を奪ってしまう。
(え?え?今、梨乃…鈴木先生にキスされてるの?)
ちゅっとリップ音がした後に唇を食むように挟まれ、梨乃は思わず体を緊張させてしまう。ただ頭が爆発してる間に先生は離れていき、先生が今度は梨乃がするように、と促される。
(ええ?あ、どうしよう…?梨乃、初めてしたばっかりのに…!)
混乱と羞恥でいっぱいいっぱいな梨乃を楽しそうに眺めながら、催促を促す鈴木先生に、梨乃はせき立てられて思わず体が動いてしまう。
恐る恐る顔を鈴木先生の方は近づけ、直前でぴしりと固まるも、先生から視線で先を促され、梨乃はぎゅっと瞳を閉じてゆっくりと顔を上にあげた。
リップ音もならない、拙い初めてのキス。それだけで何もかもが未経験なのだと先生が理解してしまう。合わせるだけの下手くそなキスをしたあと、梨乃は先ほどの感触を思い出すように小さく唇を開く。そして、ゆっくりと先生の下唇を梨乃の柔らかな唇で挟んで、弱い力ではむ、はむっと喰んだ。男を試すようなぎこちない梨乃のキスは、禁欲中の鈴木先生にはあまりに酷だが、初めての梨乃にとってはこれが精一杯だった。
(,……先生みたく、できたかな?)
初めとは変わってぱっと顔を離した梨乃は視線をうろうろと彷徨わせて、大きく深呼吸をしてから、ゆっくりと不安そうに先生を見上げる。
「できて、…ましたか?」
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