『これは、会長、ご無沙汰しております。
えェ、昨今、不安定な気候と経済状況、それに円安で、どこも大変ですよ。
えッ?私は、もう、そちらの方は、役に立たなくて。
いやいや、本当ですよ。
どうすれば会長のように元気で居られるのか、一度、時間を作りますのでゆっくりと勉強をさせて下さい、お願いします。』
(ふゥ、あの会長もまだまだ、現役とは恐れ入ったな。英雄色を好むとは、うまい事を言ったもんだな、昔の人は。
さて、真奈美はどこかな?
おっと、これはこれは、木村部長が来てたのか。
確か、真奈美は営業を担当していたんじゃなかったかな?
真奈美がどうするのか、お手並み拝見といこうか。)
木村部長が、真奈美の腰に手を回すのを見て、二人から視線を外す。
ゆっくりとカウンターを離れて、近くで一人でいた女性に笑いかけながら話しかけた。
一方、木村は、真奈美のお尻に手のひらをあて、パンティラインを指でそっとなぞる。
『そう、真実の真に美しいで、真美か。
名は体を表すというが、まさにその通りだね。どうだい?二人でゆっくりとしないかね?
飲み物はあるし、食べ物だってある。
ほら、中央の部屋、見えるだろう?
あそこはね、マジックミラーになっているから、中からは外が見えるが、外からは中が見えないんだ。
ねッ?今、見ても外からじゃ、黒い鏡の様になっていて、見えないだろう。カウンターとか、外の景色を反射するだけだ。
ところが、中に入ると、外の様子が丸見えなんだよ。
ほら、刑事ドラマでよくあるだろう?
中は鏡になっていて、外から、あいつが犯人ですか?なんて首実検する場面が。
それの逆バージョンだよ。
私の会社で作っていてね、業界シェアはほぼ8割強、トップシェアだ。
どうだい、興味湧いてきただろう?さあ、一緒に入って見よう、我が社の実力をその目で見てごらん。
お店にも使えるかもしれないよ、あの客はNGだとか、出禁とかね。
さあ、 さあ、行こう。』
自分の会社の製品の自慢をし、どうだい?興味を持っただろう?と勝手に相手の気持ちを都合の良いように理解する。
真奈美の手を取り、椅子から立ち上がらせようとする。
どうしようか迷っている真奈美の視線を追う。
『んッ?誰かを探しているのかな?
エスコートをしてくれた人? 真美が心配しなくてもその紳士も誰か相手を見つけてるさ。』
木村に握られた手が、手汗で湿り気を帯びてくる。
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