私の問いかけに『もちろん』 と答えてもらえたこと…。『早坂君』ではなく『真奈美』と呼ばれたことに安心した私は笑みを浮かべた。
「また…下の毛の処理を…ですか…?」
社長の言葉に昨日の下の毛を剃り上げられた記憶が蘇り、身体の芯がキュンと熱くなる…。
再び社長からパーティーの主旨を説明されて、断ることもできる選択肢を与えられると、心の荷物が軽くなったような気がした…。
「えっ…泣き黒子ですか…?」
髪を結い上げ…化粧は派手目に…香水も変えて…マスクを着けて…。
更に泣き黒子までも『おまじないだ』と施されれば、身バレする可能性もほぼないかと思える…。
「どうでしょうか…?今日の私は…いつもの私とは違います…?」
社長から見てどのように見えるのか問い掛けながら…。
「今日の私は…社長のお好み…ですか…?」
キッチリしたスーツ姿は、いかにも秘書としてイイ女風に仕上げたつもり。
その姿を社長に見せつけるようにクルリとその場で回って見せると、小悪魔的な笑みを浮かべて…。
「ちゃんと…見ていて下さいね…。誰に抱かれても…。」
妖しげな笑みを残して、その場を立ち去り会場内を歩き始める…。
『さすがに…紳士が集まる大人のパーティーなのね…。』
どこを見ても紳士淑女…。
カウンターでは静かにグラスを傾ける男女。
腰に手を廻し耳元で何かを囁き合う男女。
一人で会場を歩く女性は声を掛ける男性を値踏みするような視線で見つめたり…。
中にはギラギラした視線を浴びせる男性もいた…。
それでもここに集まる人々は、社会的に地位も名誉もあるハイソな人々だと思えば、ここでの出来事はここだけのもので、会場を出てしまえば普段通りの世界が待っているのだろう…。
社長から聞かされた話を自分の中で消化した結果が、安心して遊べる空間であると言うこと…。
あの男が…目の前に現れるまでは…。
「はいっ…?ありがとうございます…。」
不意に声を掛けられ振り向くとグラスを手にした男性が笑みを浮かべて立っていた…。
『えっ!?何で!?』
一瞬身を固めるように強張らせてしまうものの、知り合いだと覚られまいと堂々とした態度で振る舞いながら…。
『なんで木村部長が…ここに…!?』
会社の内情など知るよしもない私にとって、部長クラスの者がこんなパーティーに出席している事が信じられなかった…。
そんな私の想いなど知るはずもない木村部長は、いつもの営業ルックの私とは違う、秘書でありながらセクシーを装った私の身体にいつものネチっこい視線を浴びせてくる…。
キッチリと身体を締めつけるようなスーツに胸元ははだけたブラウスからは胸の膨らみが、豊かな谷間を見せつけ、ミニ丈のスカートは左右にスリットが切れ込み、惜しげも無く美脚を露わに…。
『やっぱり…木村部長だ…。あの目…舐めるようなイヤらしい目…間違いなく木村部長だ…。』
警戒しながらも、いきなり無造作に扱うわけにもいかず…。
「ありがとうございます…いただきます…。」
部長が手にしたグラスを受け取ると、近くの席に腰掛け、グラスを傾け始める…。
【こんばんは…。
部長の表現は酷ければ酷いほど何かあったときに萌えると思いますから、そのままで大丈夫です。】
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