今夜も私を・・・?という真奈美の問いに、
『もちろんだよ、真奈美の下の毛の処理は、社長の専売特許だからね。』
秘書とは見ていない時、私は早坂君とは呼ばずに、真奈美と呼ぶようにしていた。
そのほうが、今の自分の立場、置かれている状況が秘書なのか、特別な女性なのかを真奈美が理解できると思ったから。
特別な女性を、真奈美が彼女と捉えるのか、愛人と捉えるのか、はわからないが。
『繰り返しになるが、パーティーは会社の業務外の事だから、意に沿わなかったり、無理な事は断っていいからね。
それと、これはおまじないだ、目の下に、泣き黒子として付けておきなさい。』
と、真奈美の顔に左手を添えて、右手でそっと左目の下辺りに黒子を押し付けた。
『さあ、会場内を歩いてきてごらん、知ってる男性や、著名人に合えるかもしれないから。』
髪をアップにし、香水も普段とは違う匂いを纏い、黒子を付けたことで、
完全に身バレをすることがないと思ったのか、はいと微笑むように頷き席を立って歩いていく。
真奈美が営業回りしていた会社の部長の木村、そう真奈美の脚と言わず、胸と言わず全身を舐めるように視線を這わせてきたあの部長。
木村は今現在は部長職だが、近々、父が会長職になるのを機に社長に就任する予定になっていて、
今回のパーティー参加も、今後のビジネスにも役立つだろうと、父親の名代として参加していた。
株式会社ノーザンテースト社長就任あいさつと名刺に印刷して、カウンターに座っている社長や会長といった人々に頭を下げている。
ゆっくりと時間をかけ挨拶を終えてカウンターに座りながら、次の目的(こちらの方が木村にとっては本題なだが)女一人一人を見定める様に眺めはじめた。
色々なタイプの女性が、飲み物を手にして歩いたりカウンターに座ったりしている。
そして、どの女性達も個性が際立ち、総じて綺麗である。
その一人細い体にタイトなスカート姿の髪をアップに結っている女性に目を留めた。
(ほう、株式会社西原の確か、最近までうちを担当していたちょっと気の強そうな早坂君に似ているな?もうちょっとでやれそうだったんだが・・・)
と下心丸出しで相手したいたことを棚に上げて、もうちょっと何とかできなかったかと悔やんでいたところだった。
木村は、結婚していなければ一人前には見てもらえないという親の教育の元、取引先の会社の重役の娘を嫁にもらって1男1女の子供を持つ父親でもあった。
木村はこの会社の3代目にあたるのだが、お坊ちゃま気質で我儘、思い通りに行かないと癇癪を起す。
世間でよくいわれる、2代目は先代の苦労を見て育つので仕事に精を出すが、3代目は我まま一杯に育てられ会社を傾かすと言われているが、その危険性が多分にあった。
体型も、太り気味で相撲取りが少し痩せた?感じで、熱くもないのに汗をかく。
髪の毛は、30代後半から徐々に後退し、現在50歳を過ぎ頭頂部がかなり薄くなっていて、右サイドの髪を伸ばして頭頂部から左サイドに流すと抵抗を試みていた。
そして最悪な事に、上には弱く下には強いという、絶対に上司にはしたくないような性格で株式会社ノーザンテーストもすぐに娘婿に代変わりするのじゃないかと、
業界内でもっぱらの噂が流れている、元凶の元の木村であった。
木村は、真奈美を目で追いながら、バーテンからカクテルの入ったグラスをひったくる様に受け取り、真奈美の傍に歩み寄る。
『何も飲んでいないようですが、よろしければどうぞ。』
とカクテルグラスを真奈美に渡そうとした。
【時間が出来たので、続きを描いてみました。
部長の木村を思い切りいやなオヤジに描いてみましたが、無理があるのなら変更を加えてください。】
※元投稿はこちら >>