メールを送信して恍惚とした表情を浮かべている私。意識があるのかないのかすら自分でもわからないフワフワした感覚。
暫くすると例の相手から返事が届く。
「褒められた…。私…褒められたの…?」
メールの文面から例の相手は満足げであることが伝わってくる。
自分がしたことは間違いではなかった…。
素直な想いを打ち明け、己の信じるままに行動し言葉を吐き出せばいい…。
やり過ぎてしまったかと案ずる気持ちが、スッと晴れ渡っていくように感じた…。
翌日…いつものように満員電車では痴漢に襲われる。今までは恐怖が先に立ち嫌悪しかなかったものも、自分の中に眠っていた性癖を認めてしまえば…あり得ない状況での情交を経験してしまえば…。
朝から遭遇する痴漢行為など他愛もなく感じる余裕が生まれていた…。
『もう…また痴漢…?嫌だけど…でも…鈴木さんとの事を考えれば…毎朝の痴漢なんて…可愛いものね…。』
心の内では卑劣な痴漢行為をする男を哀れみのような思考で蔑み、それでもチロチロと探るような手つきにさえ淡い快楽を与えられてしまう…。
「もう…痴漢なんてホント最低…。」
電車を降りると駅のトイレに駆け込み、下着に拡がる不本意ながらも汚してしまったクロッチを拭き取る…。
出社して間もなく…。
「はい…?私…ですか…?」
何が何だかわからなかった。ほとんど顔を合わせることすらない人事の責任者から呼び出しを受け、直属の上司も何かに怯えるように…すぐに行きなさい…と背中を押してくれた。
「はっ…!?私が…社長秘書…!?」
青天の霹靂とでも言うのだろうか…。目を見開き、口をだらしなく開いたままの状況を把握しきれない表情。
「何で私が…。社長付の秘書に…。」
人事課を離れて自分の部署に戻るまでの間、何をどう考えても納得し得ない人事に現実味のない疑問を投げ掛けながら歩く。
引き継ぎ…。残務整理…。忙しく立ち回る私に帰社するように連絡が入る…。
トントン…。
「あっ…あの…早坂です…早坂真奈美です…。お呼びでしょうか…。」
社長室の重厚な扉をノックして、中に居るであろう社長に声を掛けて扉を開く…。
『この人が…社長…。確か…入社直後位に社内報で見たような…。』
おぼろげな記憶を辿り、社長だと認識する間もなく、机の上に散りばめられた写真に視線を落とすと…。
「あっ…えっ…!?何故…あの…しゃっ…社長…こっ…これは…。」
慌てて繕おうとしても言葉が見つからない。何を口に出そうとも陳腐な言い訳にしかならないような気がして…。
「あっ…はい…わかり…ました…。」
社長と同伴で出席するパーティーを承諾せざるを得ない状況に追い込まれ、渋々了承すると…。
≪あの…私が…何故か社長秘書に…。意味も理由もわからず社長室に行きました…。
社長の机の上には…私の恥ずかしい写真の数々…。私のことへやの中も覗かれていたみたいで、ベランダでも自慰まで…。≫
何から説明して良いのかわからず、思いつくままに文字を並べメールを送る私。
≪それで…今度の金曜日…社長と同伴で…とあるパーティーに行かなければならなくて…。
それが話を聞けば聞くほどに怪しくて…。
懇親会とは言われましたが…どうやらお得意様の接待みたいで…。
だだ1つ条件が…。
主催者の意向で…出席する女性はパイパンなんだとか…。
どうしたら良いでしょうか…。自分で剃るのも怖いですし…。困りました…。≫
社長室を出るまでの出来事を思いつくままに綴りメールを送る私…。
【こんばんは…。
軽いものであれば拘束や縛りも大丈夫です。
あまりの痛みや苦しみは得意ではないので…。】
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