指定されたカフェへと足を進めながらも、志向のどこかで、このまま約束をすっぽかしてしまおうかと考えてもいた。
どっちを選ぶか決めかねたまま、カフェの扉を開けてしまった…。
『あの人だ…。』
私に向かって手を上げる男性が目に入る。
間違いなくランジェリーショップの男性店員。
紛れもなく、試着室の中で身体を重ねてしまった男性…。
『恥ずかし過ぎる…。やっぱり…。』
付き合っている彼でもないし、これと言って親しい仲でもない…。
そんな行きずりのように関係を結んでしまった男性に呼び出されて応じてしまうなんて…。
「あっ…あの…。」
何を言えばわからなかった。そんな私に腰を下ろすように促し、飲み物を頼み終えると…。
「えっ!?」
男性の言葉によって、メールで送られてきた写真が頭に浮かぶ。
それをネットに流出なんてされたら…。
「こっ…困ります…。ちゃんと下着は…。」
顔を赤く染めて俯きながら、鞄の中から穿いていたパンティを小さく丸めて手渡す。
周りからの視線を気にしていても、それを確かめることさえできない私は、できる限り小さく丸めた下着を手渡した…。
「えっと…。ブラも…。着けていません…。」
そんな言葉が男性の耳に届いたのかどうか…。
後で脱いでもらう…。そんな言葉がこれから起こるであろう事を連想させる。
その証拠に、試着室での出来事を持ち出して、私を羞恥の縁に貶めようとしているような淫らな笑みが物語っている。
「そっ…そんな事…こんなところで言わないで下さい…。」
益々俯き、これ以上小さくはなれないと言わんばかりに身体を縮めて、何も言い返せないまま男性の言葉を耳にすると、これから起こるであろう事ですら、不安もありながらも鼓動の高鳴りさえも感じてしまう…。
【こんばんは…。遅くなりました…。】
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