カフェの椅子に腰を下ろしていても、どこか落ち着かないというか…頼りなさを感じてしまうのはスカートの中に何も無い状態だから…。
昨日の帰りにも生まれて初めて体験したノーパンで外を歩くこと。
今日はそれに付け加えて会社で仕事中にもノーパンを体験し心も身体も昂りを見せていた…。
程なくして届いたメール。
既に今日はそのメールすら心待ちにするほどに見知らぬ男性とのメールに嵌まっている。
それは今朝のメール。
誰しも内に秘めた性癖の処理の仕方をわからずに悶々としている。
しかし私はそれを発散し共有できる相手と場所がある…。
自分より遥かに美しいと密かに妬みすら感じるような受付の女性にすら優越感を抱き始めていたのかもしれない。
『大人の…。玩具…!?』
確かに耳にした事もあるし、雑誌などで目にしたことはあった。
しかしながらノーマルな彼との行為にそれが用いられたことなど無く、ましてや自分で購入した事なども無い。
今までは恥ずかしい事に使うための、所有していることさえ人に知られてはならないアイテムだと考えていた。
『大人の玩具を…私が一人で買いに…!?』
些か戸惑いが私の心を締めつけた。
恥ずかしさの代名詞と言うべき大人の玩具をお店で…しかも対面で購入する羞恥。
購入した物は自らが使うのだろうと想像されてしまう羞恥に押し潰されそうにもなる。
しかしながら、社内の誰よりも恵まれた環境にあると思い込まされている私は、その指示に抗う気持ちなどすぐに消え失せる…。
ゆっくりと席を立つとカフェを出て、指示された新宿のお店へと向かう。
『ディルド…リモコン式ローター…それにボディークリップ…。』
それがいったいどんなものなのか薄らとしか知らない私には、羞恥と好奇心も含めて胸を高鳴らせていた…。
「こっ…ここね…?」
店の前に立つと店の名前が書かれているだけのシンプルな店構え。
そこからは中にどのような空間が拡がっているのか理解するのは難しかった。
何も思わずに訪れていたらカフェか何かと勘違いして入店してしまいそうな普通の雰囲気。
初めて訪れる大人の玩具の店。羞恥もありなかなか入ることができない。
暫く前を行ったり来たりしながら、ついに私はお店の扉に手を掛け中へと踏み入ってしまう…。
『なっ…何ここ…!?』
薄暗い雰囲気の中にドぎつい原色の照明。
怪しい雰囲気だと言うことは扉を開けた瞬間に理解できた。
そっと扉を閉め店内を歩く。
すぐに男性の声で…「いらっしゃいませ…。」と低い声が鼓膜を揺らす。
落ち着くなど到底無理な雰囲気ではありながら、周りを見渡してみれば女性客など見えず、男性店員と男性客ばかり。
その中を静かに恐る恐る歩く私に、男性店員が近寄り…。
「いらっしゃいませ…今日は何かお探しですか…?
当店は玩具に下着にコスチューム…他にも媚薬にと…あらゆるアイテムを揃えております…。」
比較的、礼儀正しい対応に少しホッとしながら、それでも女性一人で来た事に羞恥を感じながら…。
「あっ…あの…玩具を買おうかと…ディっ…デイルドと…リモコン式の…ローターと…それから…ボディークリップを…。」
それがどのように用いられるのか、正直ハッキリとわかるわけではなかった。
それを素直に伝えると、玩具売り場に案内され…。
「お客様のお望みの品は…この辺りに揃えてございます…。」
艶やかな色の品物が所狭しと並び、天井からは鮮やかな照明が照らし出していた。
「あっ…ありがとうございます…。ちょっと…見させていただいても…よろしいですか…?」
すると男性店員は柔らかな笑みを浮かべて静かに私の元を離れた。
『すっ…凄い…大人の玩具って…こう言うものなんだ…。』
色や形、大きさも様々で、クリアーケースに入れられた玩具が、鮮やかな照明に照らされて妖しく輝いて見えた…。
≪今…お店の中に…。男性店員さんに玩具が欲しいと伝えて…売り場に案内されました…。
でも…どれを買ったら良いのか…わからなくて…。≫
心細そうな雰囲気のメールを送り、助けを…指示を…求めるように…。
その間も、少し離れた男性店員が私を見つめ、他にも買い物に来たのであろう男性客が遠巻きに私に視線を向けているのを感じた…。
『何で…?私…見られてる…?女一人だから…?なんだか心細いよ…。』
周りをハッキリとは見ることができなくとも、確実に熱い視線を感じた…。
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