「それはね…。
真生ちゃんのお母さんもそう育ってきたから…おばあちゃんも…ひいおばあちゃんも…。
わかるかい…?真生ちゃん。
みんな同じなんだよ…、優しくされたら優しくしてあげなさい。
それと同じように、自分が運よく教わったものは、その子どもも運よく教わる形を取らなきゃいけないんだ。
だからもし、真生ちゃんに女の子の赤ちゃんができても同じ。
偶然誰かに教わることを待つしかないんだよ…。」
少し苦しい言い訳。
しかし、勢いのままに仕掛けた男にとって、急な真生の質問に対する答えはこの程度が限界だった。
とにかく、この書物に描かれている行為を真緒に第三者に口にさせてはいけない。
嘘であれ、誠であれ、それなりの納得感が必要だった。
「だから、その約束が守れないなら、おじさんも教えてあげるわけにはいかないのさ。」
ひとしきり説明を終えるころには、緊張からか額に汗がにじむ。
目の前にいるのは年端もゆかぬ年齢の女の子、ただ一人。
行動こそ無防備ではあれ、時折ひやりとした言動を投げかけてくることに少し鼓動は早くなっていく。
「あぁ…大丈夫だよ…おじさん少し汗っかきだから…臭ったらごめんね…。
早いとか遅いとかはないさ…、真生ちゃんはもう十分な年齢…。
だからこそ知って、できるようになって…将来恥ずかしい思いをしないでいい状態ではいてほしい。
だからちゃんと約束を守って、おじさんと真生ちゃんだけの秘密にとどめてくれるなら…教えてあげるよ。
どうする…?」
はらりとページが捲れると、描かれるは「口淫、それは女の嗜みである。」そんな言葉が露骨に表現されていた。
数ページ後を先に開いていたらイラスト付きのページだっただろうか…。
先にそれを目にしていれば反応は変わったのか…。
少しずつ、焦らず、真生の興味だけを優先し、事を運ぶ。
【ありがとうございます。
流れ等、違和感や修正等あればおっしゃってくださいね。】
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