返事を待たず歩き出したことで、熟考の余地を与えず追随させることを意図的に行っている。
通したのは、先ほど面接を執り行った場所よりも一回り大きめの会議室。
中央には一人で座るには大きすぎるほどのデスク、そして脇に椅子が一脚。
その部屋の四方、そして天井、床と至るところにカメラが備え付けられており、
些細な表情の変化、身体の動きはもちろん、油断すればどこかのカメラが決して長くはないスカートの裾からその中を覗き見てきそうなほど、中央に立った美奈にレンズが集中している。
「どうぞ、おかけください。」
美奈に着席を促すと、少し離れた位置で椅子だけが置かれたところに自らも腰を下ろす。
先ほどと雰囲気は少し変わり、膝に肘をつく形で前方で着座する美奈を凝視するようにしながら、二言目を口にする。
「結論から申し上げると…、今回は不合格なんですよ…近藤さん…。
いえ、今回の面接に参加してくれた方々は、皆さん不合格の判断…。
しかし…貴女だけは、可能性があるなと私が判断したため…残って頂きました。」
意味ありげな言葉を口にしながら、男は美奈の返事を待たず言葉を続ける。
「貴女のスカートの丈…。
他の女性と比べても…一番短かった…。
私としてはそれがすごく良くてね…。」
女性を中心とした採用。
他の学生はいずれも膝丈すれすれの長めのスカートの中、唯一膝上とはっきり言える長さのスカートだったことが決め手だったようだ…。
「改めて再面接を行おうと思っていますが…、退室は貴女の判断で行ってください。
私は止めません…、しかし、この再面接については他言無用。
社外に漏れた場合は、貴女の現状の他社の内定取り消しはもちろん、今後も内定を出す企業はない…そう考えてください…。」
意味深な笑みを浮かべながら、男は冷たくそう言い放つ。
「問題なければ、他言無用の旨をはっきりと言葉にしていただき、改めて自己紹介を…。
年齢…身長…体重、そしてスリーサイズ、男性経験、恋人の有無…などからお聞きしましょうか…。
もう一度言います、貴女には拒否権がある。
いつでも、ご退室いただいて…結構です。
ただし、これは最後のチャンス…。
一流企業のブランドを持って社会人デビューを果たせる…最初で最後の…ね…。」
【よろしくお願いいたします。
こちらの年齢や容姿、言動や口調など、何か希望があれば教えていただけますでしょうか。】
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