服を脱いだひとみの周りをゆっくりと歩き、その裸体をじっくりと観察していくチーフ。…その視線は今までの男たちとは違う、商品を見定めるような冷静な目だった。
ひとみがチラッと下へ視線を向けても、その股間には変化が見られなかった。…それは仕事としてしっかりと対応してくれる大人がいるという安心感と、自分の裸を見ても興奮しない男がいるんだという悔しさの相反する感情が湧いてくる。
「うん、この娘達の中でも埋没することのない、素敵なスタイルをしているね。うちの製品を着てもらうのに適したバランスの良い身体だ。…肌の状態もかなり良いし、大阪に来てもらったけど充実した時間を過ごせているみたいだ。」
ひと通りひとみの身体を観察してから、ハート・ナイトにふさわしいと褒めると、肌の状態の良さが女性ホルモンが活性化している≒セックスが充実しているのだろうと遠回しに言ってくる。…そんなチーフの言葉を聞き左手で輪を作り、その中で右手の人差し指を出し入れするといった露骨なサインを送ってくる真奈美。…その様子を周りのグラドル達が羨ましそうに見ていた。
「それじゃあ、タトゥーシールを施していこうか。
みんなにも着けてもらってるんだけど、グラビアアイドルが10人揃って参加しているショーだからメディアの注目も高い。…君たちの画像も拡散されて行くことを考えて、ロゴデザインをタトゥーシールにして着けてもらって我が社の広告塔になってもらいたいんだ。
ちなみにこのタトゥーシールもハート・ナイトの商品だよ。」
といって台紙に貼られたタトゥーシールを見せる。…胸元の一枚だけかと思ったら、大きさの違うシールが何枚も準備されていた。
ハートを中心に夜を表すコウモリの羽が左右に広がり、騎士を表す剣がハートの下から下に向かって突き出している。…それらを示すラインが絶妙なバランスで配置され、一つのロゴデザインをなしていた。
だがハート・ナイトのメインターゲットとしている客層を考えれば、このロゴデザインが何を暗示しているのかがわかる。…グラドル達も最初から知っていたし、わかったうえでその位置にも施されていた。
エロ業界ではある程度の知名度を持つデザインは『淫紋』と呼ばれていた。
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