「これ、おじさんの名刺。帰りにタクシーが必要だったら呼んでよ。…まあ、お仕事中だったら無理だけどね。
じゃ、初のショーモデル頑張っておいで。おじさんも応援しているから。」
名刺を渡しながら応援の言葉をかける運転手。…名刺には営業所の配車センターの電話番号とスマホの番号が書かれ、かけやすいようにQRコードが印刷されている。
ちゃんとした印刷なところから、タクシー会社から運転手に対してスマホの番号が付与されているのだろう。
ここで時間をかけさせたら本当に遅刻だと気を使い、運転手は手を上げて挨拶したあと会場を離れていった。
中田から昨夜渡されていたスタッフ証を首にかけると、通用口から入っていく。…そこには昨夜もあった中田が立っていて、二人を見つけて苦笑いを浮かべていた。
「おはよう、二人とも。…余裕をもたせてタクシーを予約していたんだけど、なにか問題でもあった?」
あと15分ほど前に到着するはずなのにギリギリになっているので心配した。…何より、昨日の件でひとみが二日酔いになっていたり、真奈美と楽しみすぎたせいでダウンされたりしたら困るからだった。
「とりあえず二人の控室はこっちだから、そこでメイクとヘアセットを始めてね。…衣装の方はバックヤードに並んでるから、全体ミーティングのあとに確認してもらうからね。」
そう言って中田が自ら控室へと案内する。…そこは10人部屋でグラビア撮影の時に一緒だったグラビアアイドルたちと一緒の部屋だった。
実はあのグラビア撮影の際のビキニもハート・ナイトの製品であり、ショーへの参加は事前に決定していたことだった。
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