待ち合わせ場所は駅前の銅像前。…やはり待ち合わせと思われる人が多くいるが、ショーのスタッフはまだ到着していない。
「まだ来てないみたいだね。…確認のLINEを送った時にちょっとしたお願いをしちゃったからかな?」
真奈美がスマホで時間を確認してみると、時間ぴったりなのだが、ショーのスタッフはコスプレ衣装を準備しているために到着していなかった。
仕方がなく並んで待っているのだが、やはり目立つみたいで通り過ぎていく人々や待ち合わせ場所にいる人が…中には明らかにこれからデートだろうと思われる男達が二人に向かって熱い視線を送っていた。
「ほら、みんなこっちを気にしているのがわかるでしょ?…普段のおとなしい服装だと、まず最初の注目してもらうって所までいかないでしょ。
こうしてみてもらうことが多くなれば、雑誌やテレビに出れたときに、『あっ、この間見たあの娘だ。』って気にしてもらえるんだよ。
そうだ、私が今は着ていない服をあげようか?…流行に左右されないやつだから、ひとみちゃんが着てくれるんだったら嬉しいな。」
注目されていることを意識させ、それが人気につながる第一歩だと教える。…そして自分の着ない服を譲ろうと提案するが、今の服装でもわかるように、露出はかなり多めを好みサイズはひとみよりワンサイズ小さめのものばかりになると思われる。
待つ間にひとみに似合いそうな露出の多い服をスマホで一緒に選んでいく真奈美。…そこへショーのスタッフが到着する。
「おまたせ、真奈美ちゃん。3ヶ月ぶりかな?…こちらは明日がデビューのひとみちゃんかな?
はじめまして。明日のショーを担当している『ハート・ナイト』の中田です。よろしくね。…細かな挨拶は後にして、予約してあるお店の方に移動しようか。」
そう言って名刺を差し出す中田。…『ハート・ナイト 企画室 室長 中田浩二』といった肩書が書かれていた。
まずは移動と二人を案内してすぐ近くのビルへと入っていく。…そこでエレベーターに乗って最上階である10階に上がると、そこにあったのは創作居酒屋だった。…店の外には客が並んで待っているのだが、その列を無視して店内に入る。
「予約していた中田です。…席は大丈夫?」
すぐに店員が案内したのは奥の個室だった。…まず目を引いたのは夜景が見える大きな窓で、ちょうど待ち合わせをしていた駅前の広場が見下ろせる。…テーブルはガラス出できていて、とても居酒屋とは思えないおしゃれな雰囲気だった。
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