「それじゃあファッションショーは一発勝負で失敗は許させないだろうから、先輩やスタッフさんの指示を守って注意するんだよ。…そしてひとみの魅力をより多くの人に見てもらえるように頑張っておいで。」
金曜日の朝、待ち合わせとなっているターミナル駅まで車で送って来ると、スーツケースをおろしてひとみを送り出す修一。…駅の中へと入っていくのを見届けると、再び車に乗り込む。
ふと駅の方を見ると、ひとみによく似た後ろ姿の女が歩いていくのが目に付く。
「ん?あれってまさかな。…他人の空似ってやつだな。
この間のグラビアのせいで、そう感じただけだな。」
グラビアで見せていたひとみの表情が元妻とよく似ていたせいでそう感じたのだろうと思う。…実際に思い浮かんでいるのは元妻との思い出ではなくひとみのグラビアのワンシーンであり、勝手に下半身に血が集まってきてしまう。
「んっっ…ショーデビュー、頑張っておいで。」
既に姿が見えないひとみに応援の独り言をつぶやくと、車を走らせていく。
「それじゃあ私は一緒にはいけないけど、真奈美ちゃんは去年のショーに参加しているから色々と教えてもらいながら頑張ってらっしゃい。
真奈美ちゃんもしっかりとひとみちゃんのことをサポートしてあげてね。」
修一が見た後ろ姿は思い過ごしなどではなく、元妻の女社長だった。…わざわざ見送りに来たことで、気にかけてもらっているのだと感じさせる。
「はい。ひとみちゃんのことは私に任せてください。…ひとみちゃんの魅力もいっぱい見てもらえるように頑張っちゃいます。」
一緒にショーに参加する真奈美は、グラビア撮影の時も一緒だった先輩モデルだった。…もちろん女社長の命を受けて、ひとみをまた一段覚醒させるつもりである。
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