想定を遥かに超える非現実を体験した日から一夜明けていた。
男は、みほからの連絡があることは確信していたが、その反面…当日の内ではないだろうとも考えていた。
壮絶ともいえる時間を過ごした二人だ、そのままあっさりと別れの時間を受け入れるとも考えにくい。
あるいは、家庭の問題で別れ、帰宅したとしても何とか逃げ延びたという安心感なども相まって、深い眠りに落ちているのではないか…、冷静になったのちに思い出す…そんな感じではないだろうか、と。
一夜明けての日曜日…、ふと部屋の壁掛けの時計に目をやればそこそこに遅い時間になっていた。
「さすがに連絡できない…?
いや、あのみほちゃんの感じからして…連絡をしてこない、ということはありえない。
好奇心という名の泥沼に足を踏み入れてなお、しおりちゃんがあぁなってしまった理由は知りたいはず。
そして、自分だったらどうなっていたか…気になっているはずだ…。」
そう自信を持って言い切るほどに、二人は互いが癒しであり、同時に劇薬であるということを男は理解してしまった。
一方の変化は、確実にもう一方に影響を与える。
ましてや少し歪んでいる、ともいえるほど強い好意を…互いに持ち合わせればそれはより色濃い物となるだろう。
そして、男の想像は現実の物となる。
不意にデスクの上のスマホが震える。
数回震えて止まったその振動は、明らかにSNSへのアクセスの通知。
登録していないアドレスからの通知を見れば、思わず口元が緩んだ。
ただのアクセス履歴…、メッセージがついていたわけではない。
しかし、男は確信していた…。
「みほちゃん…だね…?
もし君なら…、手紙を読んでくれた…ということになるね。
しおりちゃんとの時間は楽しく過ごせたかな…?
二人だけの時間…、幸せだったよね…?
そして…聞けたかな…?しおりちゃんに…。
みほちゃんを守るために身を挺してくれた…その内容を…。
君の指先が…そんなになってしまうほどに、とろとろになった、おまんこ…そのわけを…。」
具体性を少し落としながら言葉を紡いだ。
男のアプローチが、どの部分を指しているのかをみほに勝手に想像させる為。
みほは…いや、みほたちは知らない。
多目的トイレでのことを、全て…見られていたということを…。
じゃあ、二人の時間って…?
みほが自覚している男が確実に見ていた時間…、その時しおりは気を失ったように眠り込んでいた。
トイレの中まで覗かれていたのか…?
はたまた、帰り道を着けられていたのか…?
だとすれば、二人の家までバレているのか…?
どこまで想像するのか…、あるいは想像もできずただただに恐怖を感じ震えるのか…。
男にとっては今はどうでもよかった。
ただただ、脆い癖に、ひたすらに好奇心に流され…、快感を欲する…、
小さな小さな…雌犬を、その理性を確実に削り取り、崩壊させていくことができればいいのだから…。
「答えはノー…じゃない?
そうだよねぇ?だってその答えが聞けたのなら、きっと手紙のことはしおりちゃんに話せたはずだ。
だって互いに…「隠し事」しなくていい二人で居られたはずだからねぇ?
結局聞こえなかった…、それとも、聞いたけど教えてくれなかったのかな…?
どっちだろうねぇ…。
そりゃ言えないだろうね…。
だって…、守るなんて言って…結局あれだけとろとろになってるんだから…。
とろとろになる理由…、今のみほちゃんにならわかるんじゃないかなぁ…?
そうだろう…?
本当に守ろうとしてくれたのかなぁ…?
もしかして…
君の興奮を…横取りしたんじゃない…?
なんて…、しおりちゃんに限って…そんなことはないよねぇ…。
でもさ…、君は思いたいはずだ…。
今度は私がしおりを守るんだ…ってね…。
でも…どうかなぁ…。
その指先を見て…改めて同じこと…言える…?
ほんとはさぁ…。
私もしおりと同じように…って思ってない…?
いいよ…、知りたいなら…。同じような気持ちになりたいなら…同じようにぬるぬるになりたいなら…。
教えてあげるよ…、そうなったしおりちゃんに起こったこと全部を…。
だからまずは聞かせてよ…。
このアクセスが…、みほちゃん…君だっていう返事を…。
それからちゃんと、話をしようじゃないか…。」
柄にもなく、悍ましく、どす黒い感情が全身を駆け抜け、鳥肌が立つ。
静かな自室で、男は高笑いを上げながら送信ボタンをクリックする。
【描かせたような感じになってしまって恐縮です。
ただ…最高でした。
揺れるみほちゃんの想い…、理想です…。
不安定なみほちゃんに…濡れていただけてうれしい。
この流れで冷めてしまわれたらどうしようかと、少し懸念しておりました。
ここからが第二章的なところでしょうか…。
壊れていく二人の少女に、日々の貴女が濡れる機会…増えると嬉しい。】
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