ふらつく足取りでカーテンの外へと歩いていくしおりの背中は力なく、おもちゃコーナーで必死にみほを盗撮から守ろうとしていたあの面影は微塵もなかった。
ポケットの中できゅっとしおりの下着を握る手には、ひんやりと湿った感触が伝わってくる。
-さぁ…みほちゃん…、しおりちゃんは返してあげるよ…。
君の知ってるしおりちゃん、じゃないかもしれないけど…ね…。-
ふらっと外へ出ていくのを見届け、少しの時間をおいて自らも外へ。
みほがいた場所に目をやると、案の定、驚いてしおりを抱き寄せるみほの姿が目に入る。
みほの視界に極力入らないように上手く棚で身を隠し、死角から見つめていると
朦朧とする意識の中を彷徨うしおりの手を引いていったん店外へ出ようとするみほの姿。
人目につかない場所を選択するみほの判断は正しく、さすがに後をつけることはできなかった。
「まぁいいさ…どのみちしおりちゃんをそのままにはできない。
君ならどうやってしおりちゃんの心を呼び戻してあげるのかな…?
もう気づいてるんだろ…、しおりちゃんがブラしていないこと…。
で、きっと確かめるはず…、してないのはブラだけなのかどうか…。
そこまではわかるさ…、問題はそこから先…。」
人目に付かない場所を選択したこと、自体は正解。
しかし、出てくる場所が1か所しかない場所を選んだことは、ミス、と言えるだろう。
そのポイントさえ見逃さなければ、逃げおおせることはない。
「どうする…?
上下の下着がないことに気づいたら…。
もしかしたらポケットの中に入っているかもしれない…、そう考えるのかな…。
いいよ…、全部探してあげて…?0パーセントの可能性を…。
おじさんからの手紙は…ぜひ、みほちゃんに読んで欲しいからさ…。」
ジャケットの胸元に刺さったペン。
おもむろにそのペンに手が触れる、しおりを地獄へ引きずり込んだ文字…言葉を紡いだそのボールペン。
それは今回もなお…使用されていた。
「もし…、これを先に目にしているのがみほちゃん…君だったら…。
みほちゃん、も、しおりちゃんのことが大好きなんだって…そう思うよ。
必死に探した…?しおりちゃんが着けてない、ぶらと…びっしょり濡れたぱんつ…。
でも残念…見つかったのはこのお手紙だけだったね…。
ねぇ…みほちゃん…。
本当は気づいていたんじゃない…?
しおりちゃんが、君を…何かから、必死に守ろうとしてくれてたこと…。
そしてその何か…って、さ…心当たり…あるんじゃない…?
よく見て…今のしおりちゃんを…。
みほちゃんを守るために…大好きなみほちゃんを守るために…頑張ってくれたんだよ…。
わかる…?
君の為に…、しおりちゃんは…壊れちゃった…。
もし君が…、盗撮されてるかもしれないことを…先にしおりちゃんに相談していれば…こんなことにはならなかったかもしれないね…。
もし君が…自分からスカートを捲って…どきどきしたなんて…しれたら、しおりちゃんは…しおりちゃんのこの気持ちは…どうなってしまうんだろうね…。
取返しに来るかい…?
しおりちゃんの大事な…、君を想って濡らしてしまった…この下着を…。
大丈夫…探さなくても…君にはまた会えるさ…。
次は、君の番…、しおりちゃんに助けを求めるかい…?
良いと思うよ…。大好きな友達だもんね…。
そんな、心も身体もずたずたになったしおりちゃんに…まだ助けてって…言えるなら…だけど…。」
【こんな長文を、何時書いたんだ…という突っ込みは…なしにしてください(笑)
どのタイミングで発見するかは…あるいはそもそも発見するかどうかもいったんお任せいたします。
こちらで描けることがあまりなかった部分もあるので、お手紙で尺を取りました。
心身の疲弊から、少し眠ったままのしおりちゃん…というのもいいかもしれませんね。
なかなか面白い流れが続いていて、とても楽しいです。】
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