しおりに声をかけ、呼びつけたカーテンの向こうへ向かう最中、みほとしおりのやり取りが聞こえる。
この二人の距離感は、今日一日でかなり縮まったように思える。
それが偶然訪れた不幸、男の影響が絡んでいるのかどうかは…定かではないが。
安心させたいしおり…そして、少しでも近づいた距離感を遠ざけたくはない。
そんな思いの感じる言葉をかけながら、みほのそばから離れる様子を確認すると、男は先にカーテンの中へと入る。
仕切られているだけあって、誰もが入っていい場所…ではなく。
本来は、しおりも入っていい場所ではない。
とはいえ、誰もが出入りするような店内の位置スペース。
店員も別にそこまで注意深く見てはいなかった。
仕切りがあるということは、周囲から隔たれているわけで都合よくもあるが、急に人が入ってくる可能性もゼロではない。
しかし、この店独自の粋な計らいが存在する…、それは、「中に人がいれば、カーテン上のランプがする」のだ。
トイレ清掃中の札のようなもの、清掃員が中にいますよ…それでもよければどうぞ…と、普通に考えれば、入っていくものはいない。
それも、この空間…トイレほど緊急で入ってくるような場所ではないのだ。
中は、そこまで広い空間ではなく、カーテンをくぐれば通路が2本程度の広さ。
男は、カーテンを捲ってすぐの通路…ではなく、その1本隣の場所、その奥で待っていることにした。
こちらからしおりとみほが確認できたように、しおりの目でも男がカーテン内に入っていくのは見えているはず、それを追ってくるだけならすれ違いようもない。
数分を待たず、やってくるしおり。
「来ました…」そう小さくつぶやくその表情は、みほの近くにいた時の強気な正義感とは打って変わり、ライオンに出くわしたウサギかのようで。
「よく来たね?本当に来るとは思わなかったよ?」
反射的に胸やスカート越しに股間を手で覆うしおり。
まだ子どもの精神とは言え…やはり女なのだと、感じさせてくれる。
当然だが、一定の距離…カーテンの中に入るもののいつでも逃げおおせるようにとそのぎりぎり内側にいる位置から近づこうとはしない。
-良い顔だ…。そこで無防備に近づいてい来るのもつまらない。
そしてその手…、自分が女だと理解している…そして、そこが男を…俺を興奮させる場所だと…知ってるってことだ…。
たまらないな…。-
少しの間、その間に思考を巡らせながらも表情は穏やか。
男の行動にばかり目が向いていたしおり、男の表情や雰囲気を感じるのは初めてかもしれない。
少し驚いたような表情…、しかしすぐにきりっとした意思を見せつけてくる。
-思っていたイメージと少し違った…ところでもあったのかな?-
そんなことを想っていれば、先に大きく口を開いたのはしおりだった。
念押すように力強く告げる、みほには手を出すな…その一点。
どんな表現でしおりが求めてきたとしても、ひとまずは肯定の反応を返すことにしていた。
しかし、具体性が乏しい要求は、いくらでも後から都合よく解釈し、開き直れるというもの…。
-みほちゃんが…求めた時は…君はどうするんだい…?-
そんな言葉を飲み込んだまま、黙ってうなずくと、
「わかった、約束するよ…。
だから、警戒しないで…もう少しこっちにおいで…?」
悪魔の誘い…、いや、命令か。しおりには拒否する権限などないのだから。
ゆっくりと距離を詰めてくるしおり。
しかし、こちらから近づくことはしない。
実際…、みほであれ、しおりであれ、こちらから手を出そうということをあまり考えてはいなかった。
「可愛い…ぱんつ…何度も見せてくれて…ありがとう。
青…よく似合うね…。
もう一度…めくってよく見せてくれないか…?」
小さく、しおりの口元が動いたような気がする。
しかし声は小さく…何かを言ったのか…それさえもはっきりとは分からなかった。
そして、観念したかのようにゆっくりと捲り上げる様子を見つめながら、棚に凭れかかるようにして立っていた男は、その場にしゃがみ込む。
年齢の割に高身長のしおり、とはいえ男との身長差は10㎝以上。
しかし、しゃがみこめばその男の顔面は…、しおりの股間の前まで下がってくる。
「いいねぇ…しっかり見れる状況を作ってよかった…。
ほら、もっとよく見せてよ?上の方までさぁ。
脚も…もう少し開いてたよね…?」
聞き覚えのある言い回し…、そして、開いていた…という過去形での表現…。
少しずつ脳裏に呼び覚まされるのはフードコートの出来事。
冷静さを失い、ただみほの為という大義名分を掲げ、落ち着きを取り戻したみほをよそに、下着を晒し続けることを選択していたあの時のこと…。
「気づいていたかい…?
みほちゃん…君のスカートが短くなってから…、しおりちゃんのお尻や…足を、見つめてる頻度や時間が長くなってたよ…。」
真偽の確認のしようもない言葉。
それ自体は特に重要ではなかった…、ここへきてもみほのなお改めて出し…、しおりに大義名分という名の言い訳を色濃く植え付ける。
「嬉しいよね…大好きな女の子と一緒にいられる時間…。
そんな子が自分に好意を向けてくれるなんてさ…。
守らなきゃ…だよね…?何が何でも…。
私が…守るから…だっけ…?ふふっ。
ほら、今度はお尻…スカートを捲ってお尻をこっちにつきだしてよ…。
だめ…顔はカーテンの方に向いてないとね…。」
恥ずかしい下着を晒させながら、視線を男から外させる。
緊張…嫌悪…葛藤…。
男の卑劣かつ最低な指示…そして、みほを意識させる言葉…。
すっとポケットの中のスマホに手がかかる…。
【続く…って感じになってしまいました。
時間にして数分の出来事ではありますが…、ちょっとじっくり描きたくなってしまって。
どこまでで終えて…みほちゃんの下へ返してあげるか…。
少し考え中というところでもありますね…。
ちなみに、みほちゃんへのアプローチはまだ先の方がいいということでしたが…、どのタイミングがいいなぁ…みたいなのを考えていたりしますか…?
ひとつ考えている流れはあるのはあるのですが…。
それはたぶん、貴女の思い描いているシナリオとはちょっとずれていそうな気もして…。
楽しいと難しいが入り乱れてます(笑)
ちなみに、番外編の存在を確認して書き込んでいるのですが…、
読んだらまた手が止まると思い…まだ見てません、今から楽しませていただきますね。】
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