僅かな時間をおいて返ってくるメッセージ。
その返信が届くまでの時間に何を思い、何を口走ったのか…、残念ながら筒抜け。
裏切り…、その通りだ。
男は、二人の体や心だけではなく、信頼関係も切り刻もうとしている。
一方は親友をだしにして快楽で体から、もう一方は同じく親友をだしに弱みに付け込み心から…。
卑劣…、卑怯…、最低…、最悪…、鬼畜…、醜悪…。
あらゆる人を否定する言葉、その全てを当てはめても足りないほど、男の行為は歪み、澱み…、少女たちを蝕んでいく。
仕掛けた罠には半分ほどはハマった…と言う認識だろうか。
絶望で思考を停止するほどではない、それは返事が続いたことにも明らかだった。
裏切りのよる絶望が、この上ない物であれば、おそらくこうはならない。
思考停止…、自暴自棄…、何もかもが嫌になり、どうでもよくなるだろう。
しかし、しおりは違った。
殺意は増すばかり…、そして矛先は、男だけではなくみほにまで向き始めたようだ。
もちろん、それすらもぬいぐるみを介してすべて筒抜け。
さすがにメッセージだけでは、文面から推測する程度の事しかできなかったが、私室というプライベートな空間だけに、しおりの中身まではっきりと鷲掴みにできた気分だった。
「役者だな…。
内から漏れる本音をここまで押し殺して…文字にしてよこせるなんて…。
みほの中にいる女にも驚いたが…、しおりにはしおりで、誰にも晒せない部分が…あるのかもしれないな。
さて…どうしたものか…。
別に会うのは構わないが…、不安定な状態で接触して刺されるのは…困るねぇ…。」
男の言葉は本音だった。
当然だ、目の前にフルコース…、待ちに待った玩具…が並んでいるのだ。
怪我…などでそれほどの物を不意にしたいわけがない。
そう、男は恐怖を感じてはいなかった。
ただただ、無くしたくない、手放したくないという欲求のみ。
壊れたみほ…そしてこの、狂いつつあるしおり…でさえ、男にとっては手放したくない最高の生贄…。
「それに…みほにもおしおき…と言ってたな…。
私に接触するよりも先に、みほに手を出されると…少し面倒だな…。」
男は少し頭を悩ませる。
が…、結局答えは出なかった…。
「まぁいい…。
ある意味、何があっても、みほ経由、あるいはぬいぐるみを介して筒抜け。
何かあったとしても、みほの身体を傷つけることはないだろう…、みほには悪いが、今のしおりの揺れ具合をみほ自身を使って確認させてもらうとするか…。
そうするとすれば…。」
にやりと口元が緩むとき、男は卑劣な妙案が頭を駆け巡った時だ。
滑るように指先がスマホの画面の上を素早く動き回る。
『わかった…そこまで言われたら断れないね。
場所はまた考えるとしよう…、日曜日は一日動けるようにしておくんだ。
いいね…?
あと…そうだな、今度こそ何でもする…、それは「会うために」も、もちろん含まれているよね。
だったら、日曜日までのあと数日、木曜日…金曜日で、やってもらいたいことがある。』
一度メッセージを送信し、あえてわかりやすいように指示だけをメッセージで作り直した。
『木曜日、金曜日それぞれ、授業中に席を離れるんだ。
トイレ、体調不良…何でもいい、適当なことを言って教室から出なさい。
向かうのはトイレだ。
やってもらうことは…そう、君も大好きな、オナニーさ。
皆が真面目に勉強している時間に、君は、一人、隠れて…オナニーをするんだ。
ブラウスをはだけさせ…、トイレでは脱がない部分まで。
そしてブラも、パンツもしっかりカメラに見せて…。
そのあとはパンツの上から…気持ちいい部分を口にしながら…、じっくりと撫でまわすようにやるんだ。
そうそう…、みほちゃんは…ペンで敏感なクリトリスをコリコリつつくのが好きらしいぞ…?君もやってみたらどうだ…。
木曜日と金曜日…2日ともちゃんとできれば…動画を送ってくれば、日曜日には時間を作ってあげよう。
そう…隠れて…厭らしく…、恥ずかしいオナニーを…周りに隠れて…するんだ…。
ちゃんと紹介するんだよ…?今日はいているぱんつは…何色です…どんな柄です…ってね…。
それと…絶対にパンツは脱がないこと…。
イくなとは言わないよ…おじさんも鬼じゃない…、でもパンツは履いたままだ…いいね。』
しおりの殺意さえも手玉に取るように。
殺意を抱いている相手に、まさかの自慰動画を送らせる鬼畜。
しかもそれは安心できるプライベート空間などではなく、学校。
周囲は真面目に勉学に励む中、一人、はしたない指示命令に従い、自らを慰めろとばかりに…。
そして男は添付ファイルを数点、つけて送りつけた。
ひとつはスクリーンショット
ぎりぎりの理性が、見栄が、男よりもしおりを優先した最後の言葉。
[せーえきなんてなくても、しおりとなら平気!だって柔らかくてあったかくて、ふわふわのとろとろになれるんだから!]
この部分、ファイル名は「みほの本音。」
卑劣…。
建前がぎりぎり紡いだ言葉に本音…などと名付け、揺れるしおりの心をさらにかき乱す。
振り回し、撫でまわし…心さえも辱めるように、意図の見えないスクリーンショット。
裏切ったと思わせたら、信じたくなるような言葉をちらつかせる。
少し前に送った音声で疑心暗鬼の闇に取り込まれそうになっているしおり。
しかし、解釈によっては男に強制され、言わされている可能性も…否定できない。
そして添付のスクショを信じるなら、信じたい気持ちを再び蘇らせる。
当然…、スクショと音声の時系列など知るわけもない。
さらなる奈落に叩き落すために、気持ちを少しだけ前向きにさせるただの餌であることをしおりは知る由もない。
「信じられなくなっていても良いさ、少し信じる気持ちが蘇ってくれても…どっちでもいい。
どっちでも君で遊べるんだから…。」
【【】書きを少し控えようかと思いまして。
私はイメという手段を使って、貴女自身へのアプローチをすることが目的でした。
し、これはこれからも変わりません。
ただ、こちらでの直接的なアプローチに少し甘えていたかもしれない。
ですので、少し控えることにしますね。
もちろん、展開の相談などは引き続き行っていきますので遠慮なさらないでください。
リアルの貴女の身体が求めた時に、改めて…再開しようと思います。
みほとしおりを使った、貴女の調教をね。】
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