「えぐっ…ひっ…ううう…ひくっ…しおり…しおり…」
『いるよ…大丈夫よ、あたしここにいる。大丈夫…』
(上半身裸のまま、その胸の中にみほを抱き、ぽん…ぽん…と赤子をあやすように背中を優しくたたくしおり。
その音はおじさんにも聞こえます。小さく丸くなり、そのまま縮まって消えてしまいそう…しおりは優しく優しく…みほをあやすように落ち着かせます。)
『でんわ?誰だろ…ちょっとまって…
もしもし、あ、お母さん?うん、今家。
遅くなるの?うん、わかった。さおりは?…うん、うん、いっしょに帰ってくるのね?うん、わかったわ。
じゃあね』
(スマホを取るためにずれたくまくんの位置。幸か不幸か枕からベッド全体が見渡せる位置になりました。
ピントがあった景色は、無防備に裸を晒したしおりが、みほを落ち着かせているところでした。みほが伸ばした手を両手でつなぎ、祈るように何度もその手にキスをするしおり。その姿は献身というふた文字が似合います。一方、肉体的快楽を叩き込まれ、それを満たす事が幸福と思う自分が間違っていたのでは?…なによりしおりの身体に傷をつけた自分が許せなくておちこむみほ。
みほの変化に気づきながらも一旦それを隣におき、しおりは服を着るのも忘れてみほを抱きしめます。)
「しおり…ありがとう…もう大丈夫。本当にごめんね?」
『ううん…あたしこそ…だいっきらいだなんて…言われたみほの方が傷ついたけど、言ったあたしも胸が痛かった…ごめんなさい…』
「しおり…」
『なぁに?』
「…おっぱいおっきぃ…」
『ばか!』
(ふたり、互いにやわらかい笑顔で笑い合い、しおりはもう一度みほを胸にだきます。柔らかい胸の心地よさに浸るみほ。ですがおじさんに刻まれた疑念は深く、しおりに包まれるほどノイズのように、ショーツを広げて笑うしおりがチラつきます。
自分なら…あれほど濡らす事ができる?あんなにいやらしく笑わせられる?いくらしおりに癒やしてもらっても、思い出すのはあのしおり…振り払えない雑念を捨てるようにみほは…)
…ちろ…
『んふっ!…みほ?無理しなくて…いいんだよ…あふっ…んっ…あっ…きもちいい…』
「むりして…ないもん…ちゅばっ…ちゅうちゅう…しおりを、気持ち良くさせてあげたいってきもち…溢れてきてるから…あ…硬くなってきたよ?」
『いわないでぇ…あはっ!コリコリされるとっ!うあっ!はああんっ!』
(キスをせがもうと伸ばす手を、みほは両方とも指を絡めて捉えます。そのままゆっくり寝かすと、組んだ手をしおりの頭の横に。奇しくも先ほどと同じ格好になりますが、恐怖のないしおりはみほに唇を差し出します。)
ちゅ…ちゅくっ…ぴちゃ…くちゅくちゅ…んれろん…
(聴こえるのは水音と衣擦れの音。ただ、そのキスが極上なのは、お互いに握り合う手にこもる力が語っています。
しおりは手をほどくと、無我夢中に舌を絡めるみほの髪のリボンとゴムを解き、みほの髪をおろします。そのまま自分の髪もほどくと、返す手でみほの頭をかかえます。互いに枯渇したお互いを補い合うように、情熱的に、献身的に長い長いキスを交わす2人。いつの間にかしおりは、みほのブラウスのボタンをすべて外していました。抱きしめるように背中に手を回し…)
…ぷちん…
「…あっ…」
『えへ、お返し!』
「ちょっとまって…」
(おきあがり、ブラとブラウスを脱ぎました。みほの胸の印は消えかかっています。ほとんどをおじさんに消されたとも知らず…しおりはその印を愛おしそうになでて…)
『あたし…あなたに食べられたい…あなたの中であたしがいるのが…今のあなたの望みなら…このまま食べて?骨も残らないくらいに…』
(みほの中のなにかを察して、それなら…と自らを差し出すしおり。泣きたくなるのをぐっと堪えて、みほは口を開きます。)
「…ごめん…できない…またあのみほになる…そうすると…しおり…壊しちゃうから…できない…」
(この時見せたしおりの切なさそうな笑顔。みほは忘れられなくなります…そっと広げられた両腕…みほはそのまま倒れ込むと、しおりに包まれてまた泣いてしまいます。そのみほを抱きしめながら、辛さを、悩みを共有したくてできなくて、しおりも声に出さず涙をこぼします。
あれから交わったのかしなかったのかは2人とも覚えていません。いつの間にか眠りにおちた2人は布団の中で2人ともショーツ一枚になって抱き合っていました。
先に目を覚ましたのはしおり。ふと時間をみると夜7時。みほを帰すために起こし、身なりを整えるのを手伝います。)
『これでよし!あたしとおそろいのポニテよ?
みほの方が髪長いから、綺麗なシッポが映えるよね?』
「ありがとう、うれしい…」
『ねえみほ?…なんでもない…またね!気をつけて帰って?帰ったら連絡してね?』
「うん…じゃあね?」
(帰り道。自転車を押しながらトボトボとした足取りで家路につくみほ。俯き、泣きながら自転車を押します。)
「なにが…まちがえたの?
あの…とろけた笑顔に…みほはしおりをさせられない…
あんな…満たされた幸せそうな…顔…どうしたらあんなふうにできるの?
みほがしおりにあげられる気持ちよさじゃ足りない?もっともっと乱暴にしてもいいの?わかんない!わかんないよ!
どのしおりが本当か、何が本物か…みほ、狂っちゃいそうっ!」
(自転車を地面に叩きつけ、肩をいからせ震わせながらみほは叫びます。好き・大好き・愛してる…それは本物。なのに…
純粋な気持ちを最高の愛情でたっぷり浸してあげる…たったそれだけ、それが正解…それだけであの画像以上のしあわせそうな笑顔をしおりはくれるのに…
悔し涙に頬をぐちゃぐちゃに濡らし、再び自転車を拾うと、大声で泣きながら再び家路につきます。
一方その後、無事みほより帰宅メールをもらい安心したしおりはお風呂に入ってきました。再びくまくんがしおりの姿を映します。しっとりと濡れた髪、可愛らしいパジャマ、ノーブラなのか髪をふくタオルの動きにふよふよと追従する胸。
倒れるようにベッドに飛び込むと、くまくんをもち、手を伸ばして自分と向かい合うように見つめます)
『ねえ…?くまくん?きみのご主人様…どうしちゃったんだろう?あたしとご主人様は鏡合わせなのに…
みほが笑えばあたしはしあわせ。
みほが悲しむならあたしも泣いちゃう。
それでいいのに…それだけでいいのに…』
(しおりは、みほがしたようにパジャマのボタンをはだけます。まるで自分が上に乗り見下ろすような視点でのしおりの裸。くまくんはそのしおりの胸に包まれるとパジャマにくるまれます。そこから先は…音声だけでした。)
『それとも…誰かが…みほを変えた?
純粋なあの子を騙してそそのかして…悩ませた?
もしそうなら…さがして…みつけて…つかまえて…
あたしだけのみほに手を出す奴がいるなら…
…ころしてやるんだから…
』
(心の底から響く、聞いたことのないしおりの声。
みほには、利己的で欲望に正直な「クロミホ」がいます。対してしおりには、自分の理想の小さな可愛いみほを閉じ込めてカギをかけ、心の引き出しの奥底にしまいこんではそれを愛でる「狂気の獣」を住まわせています。
ころしてやるんだから…
たった一言。ですがこの一言にゾッとするほどの憎悪がこもっていました…)
【1と2の折衷で描いてみました!
今回はただただ切ないだけ…これからまだどんどん拗れて、しおりちゃんの詮索につなげていきたいです。
…つまりはまだ泣いちゃう方がおおいのかな?】
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